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要望活動・決議

○令和8年度東京都の施策及び予算に関する要望活動を実施

 8月21日、渡辺ゆういち会長(品川区議会議長)をはじめ、役員議長8名が都庁を訪問し、要望活動を行いました。

●東京都知事への要望
 栗岡祥一東京都副知事と面談し、渡辺会長から東京都知事あての要望書を手渡しました。
 はじめに、渡辺会長から8項目の要望事項について趣旨説明を行いました。公共交通に関する要望では、都営バス減便の要因である運転手不足解消のため、あらゆる人材確保策を講じることなどを求め、インバウンド客対策のための宿泊税の見直しと特別区への分配を求める要望では、東京都税制調査会の答申を踏まえ、増額を前提とした宿泊税の見直しなど求めました。そのほか「いずれの要望事項も特別区にとって緊急かつ重要な課題であるので、その実現に向け、ご努力いただくようお願いしたい。」と要請しました。
 栗岡副知事からは、公共交通に関する要望については、都営バスにおいては、バス運転に必要な大型二種免許をお持ちでない方を対象とした養成型選考の年間募集人員を令和7年度から倍増し、門戸を広げた採用を行っている。また、短時間勤務を導入し、OB等の活用も図っている。あわせて、乗務員志望者の増加に向け、都庁関係局や業界団体等と連携して取り組むなど、引き続き人材確保策を検討していく。
 インバウンド客対策のための宿泊税の見直しについては、制度の創設から20年以上が経過する中、高額な宿泊の増加など宿泊税をめぐる状況は大きく変化しており、令和5年度には、東京都税制調査会から課税方式の見直しなどについて報告があった。都では見直しにあたり、宿泊料金の調査などを実施するとともに、意見交換の場を設け、宿泊業界関係者、経済界、有識者の皆様から幅広くご意見をいただいている。年内の素案公表に向けて、納税者及び宿泊施設事業者の負担感にも十分配慮しながら、宿泊税の課税のあり方や使途について検討を進めていく。
 このほか、観光バス駐車場の確保・整備促進や下水道の老朽化対策・耐水化対策など、本日、特別区議会の皆様からいただいた全8項目にわたるご要望については、「2050東京戦略」の推進や来年度予算に向けて、真摯に対応を検討していく。
 東京には、気候危機、人口減少・少子高齢化をはじめ、都市の強靭化など待ったなしの課題が山積している。東京の持続的発展を実現するため、都区で緊密に連携して、こうした課題に向き合い、スピード感をもって対応していくことが重要であると考えている。今後とも、都政への特別区議会の皆様の御理解と御協力を賜りますよう、改めてよろしくお願い申し上げる。等の発言がありました。

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栗岡東京都副知事(左から5人目)に要望書を手渡す渡辺会長(左から4人目)、田中副会長(右から4人目)、ただ会計監事(左から3人目)、土屋幹事(右から3人目)、一柳幹事(左から2人目)、木梨幹事(右から2人目)、上野参与(左から1人目)、釼先参与(右から1人目)

 

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要望活動の様子

 

1 公共交通に関する要望

 高齢化等に伴い交通弱者が増加する中、誰もが自由に移動できるための「公共交通」の重要性は高まっており、それを維持することは必要不可欠である。
 しかし、近年、利用者の減少や運転士不足などで路線の廃止や減便を余儀なくされる公共交通が増えている。都営バスにおいては、令和4年度は228便、令和5年度は306便、令和6年度は217便と、毎年、減便が続いている。さらに今年のダイヤの改正においては58路線236便の減便としており、地域住民の移動に影響が出ている。
 また、公共交通不便地域の解消、さらに高齢者や障害のある方々の移動手段の確保は大変重要であり、出勤や日常生活など住民生活に多大な影響を及ぼす都営バスの運行状況の改善、デマンド交通の拡充を求め、以下要望する。

  1. 1 都営バス減便の要因である運転手不足解消のため、あらゆる人材確保策を講じること。
  2. 2 都営バスについて、混雑時間帯の連結バスの導入と需要のある時間帯ダイヤの再改正を行うこと。
  3. 3 民間事業者への支援及び、自治体と協議し、デマンド交通の導入支援策の拡充などについて検討すること。

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2 観光バス駐車場の確保及び整備促進を求める要望

 国は、令和5年3月に閣議決定した「観光立国推進基本計画」においてインバウンド回復戦略を掲げ、持続可能な観光立国の復活に向けた施策を推進している。その結果、訪日外国人旅行者数は増加し、観光バスの利用もコロナ禍前の実績に迫っている。
 しかしながら、都内では新たな観光バス駐車場整備のための適地が少なく、駐車場の収容台数も減少している。東京都駐車対策協議会は、観光バスやトラックを含む大型自動車の駐車対策を都内全域での課題として指摘しており、観光地を有する自治体単独での解決は困難な状況にある。
 そこで、今後の団体観光客のさらなる増加に対応し、地域住民の安全安心な環境を守るとともに、観光客にとってより利便性の高い環境を整備するため、以下の事項について要望する。

  1. 1 都有施設の附属駐車場の開放や既存の駐車施設、公園地などの活用が柔軟にできるよう、都が主体的に働きかけを行うとともに、都有地の無償提供を実施すること。
  2. 2 駐車場用地の確保や観光バス対策に要する事業費について、補助制度の創設・拡充を図ること。
  3. 3 民間事業者による大型車の駐車場整備に対し、民有地活用を含めた金銭的・制度的補助を実施すること。
  4. 4 観光バス駐車場問題の解決に向けた総合的な対策を講じるよう、引き続き、国に対して強く働きかけること。

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3 下水道の老朽化対策と耐水化対策の強化を求める要望

 下水道は、安全・安心で快適な住民生活や活動を支える必要不可欠なインフラとして重要な役割を担っている。昨今、整備年代の古い時代に造られた下水管が原因と見られる道路陥没が増加しており、国土強靭化の一環として対策を強力に推進する必要がある。
 令和7年1月28日には、埼玉県八潮市内の県道において下水管の破損が起因したと思われる陥没が起き、走行中のトラックが転落する事故が発生した。今後、徹底的な原因究明が必要であり、全国的な道路陥没事故の未然防止対策が急務となった。
 また、令和元年東日本台風では記録的な降雨となり、河川の水位上昇による内水氾濫が発生したことにより、甚大な被害に見舞われた。浸水被害のリスクはこれからも高まっていくため、水害により下水道機能が消失した場合、社会経済活動に多大な影響を及ぼすことになるため、対策を講じる必要性があることから、次のことを要望する。

  1. 1 下水道事業において、老朽化対策事業をより一層強化すること。
  2. 2 目標を超える降雨や複合災害等により水害が発生した場合においても下水道機能が消失しないよう、より一層下水道施設の耐水化を進めること。

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4 区立小・中学校における教職員不足解消及び教育環境充実に向けた支援について

1 35人学級に伴う支援について
 「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」が一部改正され、令和3年4月1日に施行された。特別区においては令和7年度に小学校の全学年が35人学級への移行が完了した。
 また、中学校においては、都の独自の施策として「東京都公立小学校、中学校及び中等教育学校前期課程の学級編制基準」に基づき、中学校1学年については35人学級を編成できる教員加配の措置が実施されている。今後、特別区内の全中学校1学年について、35人学級の編制の実施ができるよう引き続き教員加配の措置の継続を求める。
 また、小学校においては、教員不足が慢性化しており、学校現場に大きな負担となっている。児童への教育環境を整える観点から、教職員不足解消に向けた更なる支援を要望するとともに、今後、施設整備を計画的に進めていき、すべての児童への教育水準を維持向上させるため、都においては、改修工事や増築棟の建設、民有地の賃借などに係る新たな財政措置等の支援を重ねて求める。

2 教員不足解消に資する働き方改革に向けた財政支援について
 全国的な教員不足が深刻化する中、教員の働き方改革や教育の質の確保に向けた取り組みは急務であり、集中的に取り組んでいく必要がある。
 現在、国において公立の義務教育諸学校等の教職員の給与等に関する特別措置法の議論、いわゆる教員の残業代の議論がなされているが、教職調整額を引き上げるだけでは、根本的な解決とはならないと考える。東京都においては、教員が本来の専門性を発揮し、子どもたちと向き合う時間を確保するとともに、授業時数や学校行事の見直し等、子どもたちの意思決定権を尊重した学校運営の実現に向けて、教員の処遇改善をはじめ、部活動の支援体制構築や教育DXの推進など、長時間労働の軽減に資する政策及び財政支援を講じることを要望する。

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5 インバウンド客対策のための宿泊税の見直しと特別区への分配を求める要望

 観光立国の実現を目指す国策にあって、日本政府観光局によれば令和6年の訪日外国人旅行者(以下、「インバウンド客」という)数は年間3,600万人を超えている。その多くが旅程の中で東京都内、とりわけ特別区内の宿泊施設を利用する中、東京を訪れるインバウンド客による迷惑路上飲酒、ごみのポイ捨て等、街の環境悪化への対策は喫緊の課題である。また、交通渋滞、住宅街の民泊施設における騒音等、区民生活への混乱や負担が生じていることを考えると、区民とインバウンド客の双方が満足できるまちづくりが重要である。
 現在、これらの対策費用については特別区が個々に一般会計で予算措置しているが、インバウンド客が多く訪れる自治体においては、数億円規模でコスト負担を強いられている。今後もインバウンド客の増加に伴い当該コストが増加することで住民の福祉向上が遅滞することがあってはならず、受益と負担の関係からインバウンド客にも一定の負担を求めることは合理性があると言える。
 観光地を抱える国内外の複数の自治体では、宿泊税を導入して財源確保に努めているが、インバウンド客の増加に伴い、対策と宿泊税を取り巻く状況は変化している。京都市では住民の安全安心な生活に支障が出る状況となっていることから、宿泊税を1泊最大10,000円に引き上げる見直しがされたところである。
 東京都においては、平成14年から宿泊税を導入し、国際都市東京の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に要する費用に充てるため、ホテルまたは旅館の宿泊者に一定の税負担を求める法定外目的税として都が最大1泊200円の課税徴収を行なっているが、令和5年度東京都税制調査会において創設当初と比べて宿泊税を取り巻く状況が変化していることを踏まえ、税負担水準を引き上げることが適当である等報告がされている。
 よって、下記の通り宿泊税の見直しについて要望する。

  1. 1 東京都税制調査会の報告を踏まえ、増額を前提とした宿泊税の見直しを行うこと。
  2. 2 施策の実施にあたっては、宿泊料の実勢価格を勘案した上で、課税対象宿泊料の下限額を引き上げることを前提に検討すること。
  3. 3 見直しにあたっては、宿泊税の使途に特別区が実施する観光振興ならびに環境美化推進施策への支援を含めること。
  4. 4 宿泊事業者団体の意見を十分聴取・検討の上、施策を実施すること。

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6 鉄道の連続立体交差事業の早期実現を求める要望

 特別区内においては、朝夕のピーク時間帯に遮断時間が数十分にも及ぶような、いわゆる「開かずの踏切」が数多く存在し、事故の危険性や交通渋滞の発生によって道路交通円滑化の大きな妨げとなっているほか、排気ガスによる環境悪化を招いている。また、鉄道により分断された地域では、経済活動や日常生活への影響など、深刻な課題を長年抱え、一体的なまちづくりが進まない状況にもなっている。
 こうした状況を改善する最も効果的な事業が、道路と鉄道の連続立体交差事業である。東京都は、特別区において、6路線7箇所で事業を実施し、4路線4箇所を事業候補区間として位置づけ、事業化に向けた調査を行っている。また、区としても、各区間の事業化に向けて、これまで関係機関との継続的な検討を進めるとともに、地元住民組織等と総合的な駅周辺のまちづくりについての検討を重ねてきている。
 道路と鉄道の連続立体交差事業は、計画から完了まで莫大な事業費と長い期間を要することから、区施行による事業執行は、非常に難しい状況であることを踏まえ、以下の事項について要望する。

  1. 1 事業候補区間の具体的課題を解決し、早期事業化を図ること。
  2. 2 道路と鉄道の連続立体交差事業が着実に促進されるよう必要な財源を措置すること。
  3. 3 鉄道高架化と車庫移転整備は、一体的な鉄道の連続立体交差事業として、地域の実状にあった柔軟な財源措置をすること。
  4. 4 区施行による鉄道の連続立体交差事業について、技術的・財政的な支援制度を拡充すること。

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7 防犯カメラの維持管理費等に係る町会・自治会等の負担軽減を求める要望

 町会や自治会等の地域団体(以下、「町会等」という。)が設置する防犯カメラは、犯罪抑止のための有効な手段として広く認知され、設置が進んでいる。
 町会等が設置する防犯カメラについては、令和2年度に防犯カメラの電気料金及び電柱の共架料等の維持管理費の一部補助制度が創設され、令和6年度からは、令和8年度までの3年間において、防犯カメラの設置・更新に係る補助率の引き上げが行われるものの、依然として町会等の負担が残存しているのが現状である。特に、防犯カメラを設置したことにより発生する維持管理費は、毎年度支出を余儀なくされる固定費となり、町会等の限られた予算を圧迫するものとなっている。
 このような中、東京電力パワーグリッド株式会社(以下、「東京電力」という。)は、平成31年4月1日より電柱の共架料を従前の2倍(年間2,400円/基)に値上げをしている。さらに東京電力は、令和5年6月1日から、低圧の電気料金の値上げを行ったところである。民間事業者が営利を目的として使用する場合と町会等の防犯カメラ設置の場合では、使用目的が異なるにも関わらず、物価高騰に乗じて一律に値上げを実施している。
 町会等では、地域の安全・安心の確保のため防犯カメラの設置を推進し、犯罪抑止や事件の早期解決に貢献しているところであるが、事件等が発生した場合に警察が記録検証等に活用することがほとんどである。このことから、本来、警察、あるいは東京都が防犯カメラを設置することが妥当と考えられる中、町会等が協力しているのが現状である。
 また、一部の町会等においては、維持管理等における経費の問題により設置を断念せざるを得ない状況が生じている。町会等の財政事情により、地域の安全性に偏りが生じることは望ましくない。今後も町会等に継続して地域の安全・安心に協力をしていただくため、また、8年間にわたる特別区議会議長会からの要望が軽視され完全な実現に至っていないことから、以下の事項について強く要望する。

  1. 1 防犯カメラの維持管理費及び設置費については、費用の全額を都が負担すること。なお、共架料の免除が実現されるまでの間、共架料は全額都が負担すること。
  2. 2 町会等が東京電力及び東日本電信電話株式会社(NTT)の電柱に防犯カメラを設置する場合は共架料を免除するよう、東京都から東京電力及び東日本電信電話株式会社(NTT)に強く申し入れ、共架料の免除を実現させること。

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8 路上生活者対策事業の充実を求める要望

 特別区と東京都は、平成12年度より共同でホームレスの就労自立を目指す路上生活者対策事業を推進しており、緊急一時保護事業、自立支援事業、地域生活移行支援事業及び巡回相談事業など様々な対策を実施してきた。その結果、23区内の路上生活者数については、減少傾向が見られるところであるが、依然として路上生活者が都心部に集中している状況にある。
 特に、路上生活者の高齢化や路上生活期間の長期化への対策が求められており、また、解雇や雇い止め等で仕事や安定した居場所を失った方への支援にも早急に取り組む必要がある。
 よって、以下の事項について要望する。

  1. 1 路上生活者対策は、福祉・医療の面だけでなく、就労・住宅等も含めた総合的な施策が必要であり、都として、広範囲に各施策の連携を図った対策を講じつつ、都が主体となって推進すること。また、安定した居所が無くインターネットカフェ等で起居する方に対する施策についても推進すること。
  2. 2 路上生活者の自立を促すためには、就労支援の実施が必要不可欠であるが、路上生活者は単純労働等の経験しか持たない者も多く、依然として厳しい求職状況にある。これまでも様々な就労支援策は実施されているが、職業スキルの低い路上生活者が就労できる雇用の創出を図ること。
  3. 3 生活保護法第73条により、路上生活者等居住地がないか、または明らかでないものに係る保護費等については、その4分の1を東京都が負担することとされているが、都においては保護開始後3か月を経過した場合、その費用を区が負担することとされている。この3か月を相当期間延長し、国の負担へとする制度の改正が行われるまでの間は、都が負担すること。
  4. 4 公園・河川等、国管理者との連携や都有施設の管理を適正に行うこと。
  5. 5 路上生活者問題の解決に向けた総合的な対策を講じるとともに、都区共同の路上生活者対策事業についても、必要かつ十分な財政支援を行うよう、国に対して強く働きかけること。

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