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要望活動・決議

○令和7年度東京都の施策及び予算に関する要望活動を実施

 8月26日、おのせ康裕会長(目黒区議会議長)をはじめ、役員議長7名が都庁を訪問し、要望活動を行いました。

●東京都知事への要望
 栗岡祥一東京都副知事と面談し、おのせ会長から東京都知事あての要望書を手渡しました。
 はじめに、おのせ会長から6項目の要望事項について趣旨説明を行いました。児童相談所設置に向けた財源措置では、現在の児童相談所運営に係る都区財政調整の配分割合に関する都区間の見解の隔たりを述べたうえで、児童相談所の設置・運営について必要な財源が担保されるよう配分割合の変更を行うことを求め、トイレトレーラーの配備促進等では、能登半島地震の断水によりトイレ問題が深刻化したことについて述べ、都内自治体がトイレトレーラーを配備し、トイレ対策の強化促進を図れるよう求めました。そのほか「いずれの要望事項も特別区にとって緊急かつ重要な課題であるので、その実現に向け、ご努力いただくようお願いしたい。」と要請しました。
 栗岡副知事からは、「児童相談所に関する財調協議については、都区のプロジェクトチームにおいて、配分割合の前段となる議論を進めてきた。プロジェクトチームでの議論を通じて、都区双方の考え方の背景等を含め、それぞれの主張が明確になったことが成果であると認識している。この成果を踏まえ、今後も引き続き都区で真摯に議論を進めていきたいと考えている。
 トイレトレーラーの配備促進等については、会長より「能登半島地震では、断水によってトイレ問題が深刻化した」とのお話があった。都は現在、避難生活における衛生面や快適性などの視点から、トイレ環境の向上に向けた計画を策定するため検討を進めている。本計画では、避難者の特性に応じて配慮すべき点、様々な災害時トイレの質や量の確保、適正配備等の方向性を整理しお示しする予定である。この計画を踏まえ、各区の皆様がそれぞれの地域特性に応じたトイレ環境の向上に向けた取組ができるよう支援していく。また、都は各区の皆様が、避難所において活用する携帯トイレ・簡易トイレの備蓄などに取り組めるよう財政支援を実施している。
 現在の東京には、人口減少や気候変動をはじめ、待ったなしの課題が山積している。持続可能な東京を実現するために、都と特別区が連携・協力して、これらの課題に向き合い、未来志向でスピード感をもって対応していくことが求められている。今後とも、特別区議会の皆様の御理解と御協力を賜るよう、改めてよろしくお願い申し上げる。」等の発言がありました。

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栗岡東京都副知事(左から5人目)に要望書を手渡すおのせ会長(左から4人目)、鈴木副会長(右から3人目)、大沢会計監事(左から3人目)、おぎの幹事(右から2人目)、伊藤幹事(左から2人目)、田中参与(右から1人目)、藤澤参与(左から1人目)

 

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要望活動の様子

 

1 教育環境の更なる充実を求める要望

 日本の将来を担う子どもたちがより良い環境で十分な教育を受けられるよう、下記の事項について要望する。

1 小学校全学年35人学級に伴う財政支援について
 「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」が一部改正され、令和3年4月1日に施行された。
 学級数の増加に伴い教室の不足が想定される学校について、計画的な施設整備を進めている区もあり、普通教室確保に向けた大規模な改修設計・工事は、急激な円安による建築資材の高騰、公共工事設計労務単価の引き上げ等により区の財政に大きな影響を与えている。
 今後、施設整備を計画的に進め、すべての児童への教育水準を維持向上させるため、都においては、改修工事や増築棟の建設、民有地の賃借などに係る新たな財政措置等の支援に加え、都有地の活用を要望する。

2 教員不足解消に資する働き方改革に向けた財政支援について
 令和6年度の東京都公立学校教員採用選考の小学校における受験倍率は、1.1倍と過去最低となり、小中高・特別支援学校合わせた全体においても1.6倍だった。
 区立小中学校現場では、慢性的な教員不足により一人ひとりの教員への負担が重くなっている。一方、変化の激しい社会の中で、児童・生徒の生きる力を育む教育の充実や、特別支援教育の更なる充実、児童・生徒を地域と共に育てる環境の醸成など、学校を取り巻く課題も山積している。
 こうした状況下において、教員には子どもたちの将来を見据えた教育の充実に向け、更なる研究・研修の機会の創出が求められている。
 今こそ、東京都の目指す教育「誰一人取り残さず、すべての子供が将来への希望を持って、自ら伸び、育つ教育」の実現のため、外部人材の活用や部活動の地域連携・地域移行に必要な支援、外部人材活用のための研修制度の確立、休職者および教員復職者へのメンタルヘルス対策など教員の働き方改革を進め、多くの人材に教職を選択してもらえる取組の推進を求める。
 さらに、都においては、区立小中学校の深刻な教員不足解消に向け、働き方改革に取り組むための各区の予算措置の拡充を要望する。

3 区立小中学校教職員の人事権移譲について
 少人数学級の実現によって、個別最適な学びときめ細やかな指導の実現が期待されるが、各区の地域特性や教育方針を理解し、子ども達への深い愛情と区への帰属意識を持つ教員を長期的視点に立って育成していくことも求められている。各区の実情・ニーズに合わせた独自の教育施策を推進するためには、教職員定数・学級編制基準の決定権を併せた区立小中学校教職員の人事権移譲が必要であり、教職員の人事権を、教職員定数・学級編制基準の決定権及び必要な財源と併せて、特別区へ移譲することを要望する。

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2 児童相談所設置に向けた財源措置を求める要望

 平成28年の児童福祉法改正により、特別区も政令による指定を受けて児童相談所を設置できることとなった。これを受け、設置を希望する区においては、設置に向けた準備を進めているところであり、現在8区において児童相談所の開設に至ったところである。
 このような状況の中、東京都と特別区においては、都区財政調整の配分割合について、令和2年度より、児童相談所の運営に関する都区の連携・協力を一層進めていく観点から、特例的な対応として、特別区の配分割合を0.1%増の55.1%とした。しかしながら、財源配分に関する都区間の見解には隔たりがあり、今後、令和5年度に設置された都区のプロジェクトチームによる、区立児童相談所の事務の財政調整上の位置づけに関する検討結果を踏まえて、改めて財源配分についての協議が行われることとされている。
 児童虐待などの様々な問題について、より身近な地域できめ細かな対応を行うためには、基礎的自治体である特別区において児童相談所を設置し、運営することが求められており、そのためには、十分な財源措置が必要である。
 よって、特別区における児童相談所の設置・運営について、必要な財源が担保されるよう、都区財政調整において、配分割合の変更を行うことを要望する。

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3 トイレトレーラーの配備促進等に関する要望

 令和6年能登半島地震では、甚大な被害を受け、断水によって飲料水や生活用水が使用できなくなり、トイレ問題は深刻化した。避難所生活が長期化する場合、簡易トイレは、感染症などの衛生上の問題の発生や既往症の悪化による災害関連死の原因ともなると指摘されている。
 令和6年6月現在、能登半島では、「一般社団法人 助けあいジャパン」に加盟する全国の自治体から派遣された20台以上の移動式水洗トイレ「トイレトレーラー」が活躍している。
 東京都として、都内自治体がトイレトレーラーを配備し、トイレ対策の強化促進を図れるよう財政支援を含む以下の事項について要望する。

  1. 1 都内自治体に呼び掛けトイレトレーラーの配備促進を図ること。
  2. 2 導入経費の負担軽減のため、財政支援を講じること。

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4 鉄道の連続立体交差事業の一層の推進を求める要望

 特別区内においては、朝夕のピーク時間帯に遮断時間が数十分にも及ぶような、いわゆる「開かずの踏切」が数多く存在し、踏切事故の発生による危険性やそれに伴って生ずる列車の遅延、交通渋滞の発生によって道路交通円滑化の大きな妨げとなっているほか、排気ガスによる環境悪化を招いている。また、鉄道により分断された地域では、経済活動や日常生活への影響など、深刻な課題を長年抱え、一体的なまちづくりが進まない状況にもなっている。
 こうした状況を改善する最も効果的な事業が、鉄道の連続立体交差事業である。
東京都は、特別区において、6路線7箇所で事業を実施し、4路線4箇所を事業候補区間として位置づけ、事業化に向けた調査を行っている。また、区では鉄道の連続立体交差事業化について、これまで関係機関との継続的な検討を進めるとともに、地元住民組織等と鉄道の連続立体交差事業に併せた総合的な駅周辺のまちづくりについての検討を重ねてきている。
 今後、国際化・観光立国の推進を見据え、都市交通の整備促進や防災対応力の強化等、国際観光拠点としての機能充実が広く望まれているところでもある。また、首都圏空港アクセスの速達性・確実性の確保・改善に資する当該事業の早期実現が求められている。
 さらに、鉄道立体化事業は、計画から完了まで莫大な事業費と長い期間を要することから、区施行による事業執行は、非常に難しい状況となっている。
 これらの趣旨を踏まえ、以下の事項について要望する。

  1. 1 事業候補区間の具体的課題を解決し、早期事業化を図ること。
  2. 2 鉄道の連続立体交差事業が着実に促進されるよう必要な財源を措置すること。
  3. 3 鉄道高架化と車庫移転整備は、一体的な鉄道の連続立体交差事業として、地域の実状にあった柔軟な財源措置をすること。
  4. 4 区施行による鉄道立体化事業について、技術的・財政的な支援制度を拡充すること。

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5 防犯カメラの維持管理費等に係る町会・自治会等の負担軽減を求める要望

 町会や自治会等の地域団体(以下、「町会等」という。)が設置する防犯カメラは、犯罪抑止のための有効な手段として広く認知され、設置が進んでいる。
 町会等が設置する防犯カメラについては、令和2年度に防犯カメラの電気料金及び電柱の共架料等の維持管理費の一部補助制度が創設され、令和6年度からは、令和8年度までの3年間において、防犯カメラの設置・更新に係る補助率の引き上げが行われるものの、依然として町会等の負担が残存しているのが現状である。特に、防犯カメラを設置したことにより発生する維持管理費は、毎年度支出を余儀なくされる固定費となり、町会等の限られた予算を圧迫するものとなっている。
 このような中、東京電力パワーグリッド株式会社(以下、「東京電力」という。)は、平成31年4月1日より電柱の共架料を従前の2倍(年間2,400円/基)に値上げをしている。さらに東京電力は、令和5年6月1日から、低圧の電気料金の値上げを行ったところである。民間事業者が営利を目的として使用する場合と町会等の防犯カメラ設置の場合では、使用目的が異なるにも関わらず、物価高騰に乗じて一律に値上げを実施している。
 町会等では、地域の安全・安心の確保のため防犯カメラの設置を推進し、犯罪抑止や事件の早期解決に貢献しているところであるが、事件等が発生した場合に警察が記録検証等に活用することがほとんどである。このことから、本来、警察、あるいは東京都が防犯カメラを設置することが妥当と考えられる中、町会等が協力しているのが現状である。
 また、一部の町会等においては、維持管理等における経費の問題により設置を断念せざるを得ない状況が生じている。町会等の財政事情により、地域の安全性に偏りが生じることは望ましくない。今後も町会等に継続して地域の安全・安心に協力をしていただくため、また、7年間にわたる特別区議会議長会からの要望が軽視され完全な実現に至っていないことから、以下の事項について強く要望する。

  1. 1 防犯カメラの維持管理費及び設置費については、費用の全額を都が負担すること。なお、共架料の免除が実現されるまでの間、共架料は全額都が負担すること。
  2. 2 町会等が東京電力及び東日本電信電話株式会社(NTT)の電柱に防犯カメラを設置する場合は共架料を免除するよう、東京都から東京電力及び東日本電信電話株式会社(NTT)に強く申し入れ、共架料の免除を実現させること。

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6 路上生活者対策事業の充実を求める要望

 特別区と東京都は、平成12年度より共同でホームレスの就労自立を目指す路上生活者対策事業を推進しており、緊急一時保護事業、自立支援事業、地域生活移行支援事業及び巡回相談事業など様々な対策を実施してきた。その結果、23区内の路上生活者数については、減少傾向が見られるところであるが、依然として路上生活者が都心部に集中している状況にある。
 特に、路上生活者の高齢化や路上生活期間の長期化への対策が求められており、また、解雇や雇い止め等で仕事や安定した居場所を失った方への支援にも早急に取り組む必要がある。
 よって、以下の事項について要望する。

  1. 1 路上生活者対策は、福祉・医療の面だけでなく、就労・住宅等も含めた総合的な施策が必要であり、都として、広範囲に各施策の連携を図った対策を講じつつ、都が主体となって推進すること。また、安定した居所が無くインターネットカフェ等で起居する方に対する施策についても推進すること。
  2. 2 路上生活者の自立を促すためには、就労支援の実施が必要不可欠であるが、路上生活者は単純労働等の経験しか持たない者も多く、依然として厳しい求職状況にある。これまでも様々な就労支援策は実施されているが、職業スキルの低い路上生活者が就労できる雇用の創出を図ること。
  3. 3 生活保護法第73条により、路上生活者等居住地がないか、または明らかでないものに係る保護費等については、その4分の1を東京都が負担することとされているが、都においては保護開始後3か月を経過した場合、その費用を区が負担することとされている。この3か月を相当期間延長し、国の負担へとする制度の改正が行われるまでの間は、都が負担すること。
  4. 4 公園・河川等、国管理者との連携や都有施設の管理を適正に行うこと。
  5. 5 路上生活者問題の解決に向けた総合的な対策を講じるとともに、都区共同の路上生活者対策事業についても、必要かつ十分な財政支援を行うよう、国に対して強く働きかけること。

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