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要望活動・決議

○令和6年度国の施策及び予算に関する要望活動を実施

 8月2日に、特別区議会議長会山本香代子会長(江東区議会議長)及び池田裕一会計監事(豊島区議会議長)が文部科学省及び財務省を訪問し、要望活動を行いました。また、8月7日には、丸山高司副会長(渋谷区議会議長)が加わった議長会三役が経済産業省を訪問し、要望活動を行いました。

●文部科学大臣への要望
 永岡桂子文部科学大臣と面談し、学校給食費無償化の推進のための財政支援、教員不足解消に向けた取組の更なる強化、充実等5項目を要望しました。
 永岡大臣からは「給食費は、コロナ禍の中、物価対策として無償化の検討が重要な課題となったが、給食がない学校もあり全国統一ではない。こども未来戦略方針で1年かけて全国調査をしてから検討する。なお、低所得家庭に関しては今も対応している。教員の負担軽減、働き方改革、処遇改善等は中教審の答申を待ってほしいが、東京都の、社会人経験者で教員になりたいという方に対して資格取得まで2年待つという取組は素晴らしい。(文部科学省では)採用一次試験を全国共通にして教育委員会の負担軽減を図ることを検討している。」等の発言がありました。

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永岡文部科学大臣に要望書を手渡す山本会長(右)、池田会計監事(左)

 

●財務大臣への要望
 鈴木俊一財務大臣と面談し、地方税財源の充実強化、物価高騰等に対する経済支援の充実等4項目を要望しました。地方税財源の充実強化を求める要望については、(1)地域間の税収格差の是正は、法人住民税の一部国税化ではなく、国の責任において行うこと。(2)地方消費税の清算基準は、税収を最終消費地に帰属させるという本来の趣旨に沿った基準を用いること。(3)ふるさと納税は、制度本来の趣旨に沿った運用を徹底すること等を要望しました。
 鈴木大臣からは、「都市の状況について話を伺ったが、ふるさと納税は、総務省で東京をはじめとする都市についても対応を考えていると理解している。来年度予算編成も始まり、先月末に概算要求基準が決まり、8月末には概算要求が出てくる。主計局でよく調整して進めていく。」等の発言がありました。

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鈴木財務大臣に要望書を手渡す山本会長(右)、池田会計監事(左)

 

●経済産業大臣への要望
 太田房江経済産業副大臣と面談し、物価高騰等に対する経済支援の充実等について、電気・ガス料金負担軽減策の継続や省エネ家電・省エネ設備等更新に対する支援の充実等を要望しました。
 太田副大臣からは、「電力の安定供給が大変重要になっている中、コスト面の激変緩和対策を、ガソリン、電気料金、ガス料金と1月から始めたが、9月で一応区切らせていただくことになる。10月使用分以降をどうするかは検討中だが、国際的な原油価格等の動きをよく見極めながら対応していく。」等の発言がありました。

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太田経済産業副大臣に要望書を手渡す山本会長(中央左)、丸山副会長(右)、池田会計監事(左)

 

そのほか、以下のとおり要望書を郵送し提出しました。

  1. 1.厚生労働大臣あて
    • 少子化対策及び子ども・若者支援に関する要望
    • 物価高騰等に対する経済支援の充実等を求める要望
    • 路上生活者対策事業の充実を求める要望
  2. 2.国土交通大臣あて
    • 鉄道連続立体交差事業の一層の推進を求める要望
  3. 3.環境大臣あて
    • 物価高騰等に対する経済支援の充実等を求める要望
  4. 4.内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策)あて
    • 学校給食費無償化の推進のための財政支援を求める要望
    • 少子化対策及び子ども・若者支援に関する要望

1 学校給食費無償化の推進のための財政支援を求める要望

提出先:財務大臣
文部科学大臣
内閣府特命担当大臣
(こども政策 少子化対策)

 学校給食法第2条で定める学校給食の目標達成に向け、小・中学校では給食を通じた食育が行われており、その意義は大きく、学校給食は教科学習と並んで学校教育の大きな柱となっている。
 現在、子どもの食を巡る状況はさまざまな様相を見せている。家庭の事情により朝食を抜いての登校や偏りのある食事、給食がない夏休みに十分な栄養を取れない等、子どもの健やかな成長の妨げになっていることが散見されており、社会全体の問題として捉える必要がある。また、給食は栄養を考えた献立、みんなで食事をする楽しみ等、食事をとること以外の面でも子どもの成長に期するものであると考える。
 文部科学省の令和3年度学校給食実施状況調査によると平均月額給食費は小学校で4,477円、中学校で5,121円を各家庭が負担しており、教材費や制服、体操着、学用品、修学旅行積立金等の学校関連費の家庭負担の中でも、給食費の負担が大きい状況である。新型コロナウイルス感染症は5類に移行したものの、経済的に苦しい状況にある保護者も多く、学校給食費の無償化が切に求められる状況である。
 全国的に見ても、平成29年度の「学校給食費の無償化等の実施状況」及び「完全給食の実施状況」の調査結果によると、1,740自治体のうち何らかの形で無償化や一部補助を実施しているのは、506自治体であり、そのうち小学校、中学校ともに無償化しているのは76自治体に留まる。財政余力が十分でなく無償化の実施が困難な自治体も多い中、自治体間で格差が生じることがないよう、国が制度改正や財源措置を講ずる必要がある。
 これらの趣旨を踏まえ、下記の事項について要望する。

  1. 1 学校給食費無償化を推進するため、自治体への財政支援を行うこと。

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2 教員不足解消に向けた取組の更なる強化、充実を求める要望

提出先:文部科学大臣

 文部科学省は、2021年4月の始業日時点で2,558人の教員不足が生じていたと公表した。東京都の公立小学校においても、本年4月時点で約80人の欠員が生じており、教員不足は全国的に深刻な状況にある。
 教員不足の原因の一つとしては、学校現場での多忙化・長時間勤務などの過酷な労働環境が背景にある。本年4月に公表した教員の勤務実態調査では、国が定めた月45時間の上限を超えて残業をしていた教員の割合が小学校で64.5%、中学校で77.1%となっており、中学校教諭に至っては36.6%が過労死ラインを超えて働いていることが明らかになった。また、東京都の令和4年度教員採用試験倍率が2.1倍で過去最低を記録した状況に代表されるとおり、教員志望者が減少していることや講師登録者数の減少、小学校の35人学級への移行による必要な教員数の増加等も教員不足の原因に挙げられる。
 教員不足を解消するためには、業務削減や勤務間インターバル制度の導入などの教員の処遇改善や働き方改革の推進による教職の魅力向上、採用試験の見直し、離職防止等の包括的な取組の強化、教員不足解消に向けた取組の更なる充実が必要であり、下記の事項について要望する。

  1. 1 根本的な負担軽減を図り、現場の教員が児童生徒と向き合えるよう、教員サポート体制を充実させること。
  2. 2 教職の魅力向上のため処遇改善を講じること。
  3. 3 全国共通の採用試験で受験し易い環境を整備すること。
  4. 4 新しい学校の生活、小学校の学級編成標準35人学級に適応した教職員定数の見直しを図ること。
  5. 5 育休取得や病気休職に伴う代替教員を確保するための財政措置を講じること。
  6. 6 メンタルヘルス対策を含めた教員の健康確保の取組に財政措置を講じること。
  7. 7 新規採用教員の離職防止に向けた研修の充実と財政措置を講じること。

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3 特別支援学校・学級等への教員等の適切な配置を求める要望

提出先:財務大臣
文部科学大臣

 文部科学省「学校基本調査」によると、特別支援教育を受ける児童生徒は年々増加しており、10年間で、特別支援学校については学校数が約11%増加、児童生徒数は約14.3%増加、特別支援学級は1.6倍に増え児童生徒数は2.1倍に増加している。また通級による指導を受けている児童生徒数は約2.6倍に増え、教育現場では新たな特別支援教育体制の整備が必要になっている。
 このような状況に適切に対処するためには、専門的な知識や経験を持った教員等の増員が必要不可欠である。また今日、共生社会の形成に向けて、「障害者の権利に関する条約」に基づき、子どもたちの多様性を尊重するインクルーシブ教育システムの構築が求められており、そのためにも我が国の特別支援教育のさらなる拡充が必要である。
 よって政府においては、医療的ケアを含めた特別支援教育が必要な子どもの増加や、さまざまな障がいのある児童生徒に的確に対応した教育を実現するために、特別支援学校・学級等への教員等の適切な配置に向けて、下記の事項について財政措置を含めた特段の措置を講じることを求める。

1 特別支援教育支援員の適切な配置
 障がいのある児童生徒に対し、食事、排泄、教室移動の補助等学校における日常生活動作の介助を行ったり、発達障がいの児童生徒に対し、学習活動上のサポート等を行う特別支援教育支援員の適切な配置への支援

2 特別支援教育コーディネーターの適切な配置
 保護者や関係機関に対する学校の窓口として、また、学校内の関係者や福祉・医療等の関係機関との連絡調整の役割を担い、子どもたちのニーズに合わせた支援をサポートする特別支援教育コーディネーターの適切な配置への支援

3 看護師等の専門家の適切な配置
 医療的ケアが必要な子どもや、障がいのある子どもへの支援を的確に実施するために、看護師、ST(言語聴覚士)、OT(作業療法士)、PT(理学療法士)等の専門家の必要に応じた適切な配置への支援

4 特別支援学校のセンター的機能の強化
 各学校でインクルーシブ教育を一体的に進めるために、担当の教員だけでなく学校長等に対する指導や研修等を実施し、校内全体での取り組みを促進するために、特別支援学校のセンター的機能強化への支援

5 特別支援教育デジタル支援員(仮称)の配置
 「1人1台端末」を、特別支援学級や特別支援学校において、授業はもとより、個々の特性や教育的ニーズに応じた支援ツールとして有効に活用するための特別支援教育デジタル支援員(仮称)の配置への支援

6 特別支援学校教諭免許状の取得支援
 特別支援学校教員の特別支援学校教諭免許状の取得率は87.2%となっており、特別支援学校における教育の質の向上の観点から、教職員への取得支援の強化や、大学等における特別支援教育に関する科目の修得促進等、教職員に対する特別支援学校教諭免許状の取得への支援。併せて、特別免許状についても強力に推進すること。

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4 鉄道連続立体交差事業の一層の推進を求める要望

提出先:国土交通大臣

 特別区内においては、まだ数多くの踏切が存在し、事故の危険性や交通渋滞の発生によって道路交通円滑化の大きな妨げとなっている。また、鉄道により分断された地域では、経済活動や日常生活への影響など、深刻な課題を長年抱え、一体的なまちづくりが進まない状況にもなっている。
 こうした状況を改善する最も効果的な事業が、鉄道連続立体交差事業である。
 区では鉄道連続立体交差事業について、これまで関係機関との継続的な検討を進めるとともに、地元住民組織等と鉄道立体化に併せた総合的な駅周辺のまちづくりについての検討を重ねてきたところである。
 しかしながら、鉄道連続立体交差事業は都市計画事業であり、計画から完了まで莫大な事業費と長い期間を要することから、区施行による事業を着実に完了させるには、財政面における手厚い支援が必要となる。
 これらの趣旨を踏まえ、以下の事項について要望する。

  1. 1 区施行での事業化に対し、地域の実情に応じた財政的支援を拡充すること。
  2. 2 事業を安定的に推進することができるよう、毎年度予算を確保すること。

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5 地方税財源の充実強化を求める要望

提出先:財務大臣

 「地方創生の推進」と「税源偏在是正」の名のもと、法人住民税の一部国税化や地方消費税の清算基準の見直し、ふるさと納税等の不合理な税制改正が行われ、特別区の貴重な税源は一方的に奪われている。
 地方税を国税化して再配分する手法は、応益負担という地方税の根本原則を歪めるものである。本来、地方財源の不足や地域間の税収等の格差については、国の責任において、必要な財源を保障することが重要である。
 特別区は、首都直下地震への備えや高齢者対策、子育て支援策、公共施設の老朽化対策など、大都市特有の膨大な行政需要を抱えている。また、ウクライナ情勢やコロナ禍による原油価格・物価高騰等の影響も重なり、膨大な財政需要が生じている。
 地方自治体が責任を持って充実した住民サービスを提供していくためには、需要に見合う財源の確保が不可欠であり、限られた地方税財源の中での配分調整では根本的な解決を図ることはできない。
 よって、以下の事項について要望する。

  1. 1 地域間の税収格差の是正は、法人住民税の一部国税化ではなく、国の責任において、自ら行うこと。
  2. 2 地方消費税の清算基準は、「税収を最終消費地に帰属させる」という清算基準の本来の趣旨に沿った基準を用いること。
  3. 3 ふるさと納税は、制度本来の趣旨に沿った運用を徹底すること。

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6 少子化対策及び子ども・若者支援に関する要望

提出先:文部科学大臣
厚生労働大臣
内閣府特命担当大臣
(こども政策 少子化対策)

 昨年の出生数は80万人を割り込み、想定よりも早いペースで少子化が進んでいる。一方、児童虐待や不登校、いじめ、自殺は、過去最悪の状況となるなど子どもを取り巻く環境は、深刻さを増している。こうした中、今年度、子ども政策の司令塔となる『こども家庭庁』が発足したことに伴い、我が国における子ども・若者中心の社会、子育てしやすい環境を実現するため、以下の事項を要望する。

  1. 1 高校生までの医療費を無償化するための財政措置を講じること。
  2. 2 保育の質および保育士の安定的確保のため、保育士の更なる処遇改善に向け公定価格を引き上げること。
  3. 3 出産費用の保険適用を早期に実現すること。
  4. 4 育児休業給付金の一層の充実と育児休業取得率100%の事業所への奨励など育児休業を積極的に取得できるよう支援を強化すること。
  5. 5 子ども・若者の意見を政策に反映するため、多様な手法を組み合わせて継続的に意見を聴くための仕組みづくりを進めること。

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7 小学校全学年35人学級に伴う財政支援に関する要望

提出先:文部科学大臣

 先般、小学校の学級編制の標準を現行の40人(1年生は35人)から35人に引き下げる「公立義務教育諸学校の学級編制および教職員定数の標準に関する法律」の一部を改正する法律が令和3年4月1日に施行された。
 学級数の増加に伴い教室の不足が想定される学校について、計画的な施設整備を進めている区もあり、普通教室確保に向けた大規模な改修設計・工事は、区の財政に大きな影響を与えている。
 今後、施設整備を計画的に進め、少人数学級の対象拡大を図り、すべての児童への教育水準を維持向上させるため、国においては、改修工事や増築棟の建設に係る更なる財政措置の支援とともに、民有地の賃借などに係る新たな財政措置等の支援を要望する。

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8 物価高騰等に対する経済支援の充実等を求める要望

提出先:財務大臣
厚生労働大臣
経済産業大臣
環境大臣

 ロシアによるウクライナ侵攻の長期化等により原油をはじめとするエネルギー価格や食料品・日用品など生活必需品の高騰は依然として続き、国民生活および事業者の経営に今もなお大きな影響を及ぼしている。
 昨年度、政府において決定されたコロナ禍における「原油価格・物価高騰など総合緊急対策」により、地方創生臨時交付金を拡充し、「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」が創設された。また、「電気・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」が創設され、その約半年後には増額されるとともに、低所得世帯への支援のための「低所得世帯支援枠」が措置された。
 低迷した区内経済や区民生活を一刻も早く回復させるためには、多種多様な対策を長期にわたり講じる必要があり、引き続き支援の継続が必要である。これらを踏まえ、以下の事項について要望する。

  1. 1 電気・ガス料金の負担軽減策を継続すること。
  2. 2 食料品や日用品など生活必需品の物価高騰に苦しむ低所得者など生活困窮者に対する経済的支援を充実させること。
  3. 3 光熱水費の削減と消費喚起による経済活性化の両立を図るため、引き続き省エネ家電や省エネ設備等更新に対する支援の充実を図ること。

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9 路上生活者対策事業の充実を求める要望

提出先:厚生労働大臣

 特別区と東京都は、平成12年度より共同でホームレスの就労自立を目指す路上生活者対策事業を推進しており、これまでも様々な対策を実施してきた。その結果、特別区の路上生活者数については、減少傾向がみられるところである。
 しかし、特別区と東京都の取組だけでは、機能面、財政面で限界がある。路上生活者が都市部自治体へ集中している実態は、特定の大都市だけの問題ではない。抜本的な解決のためには、国の責任のもとで総合的に施策を推進していく必要がある。
 よって、以下の事項について要望する。

  1. 1  多くの路上生活者が、地方からの流入による大都市の問題であることを考慮し、東京都と特別区が共同で展開している様々な路上生活者対策事業に対し、自立支援センターの建設費及び運営費の全額国庫補助を行うなど一層の支援策を講じること。
  2. 2 路上生活者問題を解決するため、総合的な対策を行うとともに、十分な財政措置を継続して行うこと。
  3. 3 路上生活者の生活再建を図るため、雇用の創出に取り組むこと。また、生活や住居に困窮している離職者等に対する雇用支援を行うこと。
  4. 4 路上生活者問題は、大都市が抱える問題であるため、住所不定者の保護費等について大都市の自治体のみが負担することは財政的公平性を欠いていると言わざるを得ない。よって、生活保護法第73条により都道府県の負担分とされる住所不定者の保護費等については、全額を国庫負担とすること。

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