○令和4年度国の施策及び予算に関する要望活動を実施
8月2日、大和田伸会長(杉並区議会議長)、田中としかね副会長(文京区議会議長)、木内清会計監事(墨田区議会議長)の3名が文部科学省、法務省及び内閣府を訪問し、要望活動を行いました。
また、財務大臣、総務大臣、厚生労働大臣、国土交通大臣、経済産業大臣、経済再生担当大臣、内閣府特命担当大臣(新型コロナウイルス感染症対策)、内閣府特命担当大臣(新型コロナウイルス感染症ワクチン接種推進)、内閣府特命担当大臣(防災)、内閣府特命担当大臣(デジタル改革)あてに、要望書を提出しました。
●文部科学大臣への要望
萩生田光一文部科学大臣と面談し、新型コロナウイルス感染症対策に伴う総合的な支援及び保育士並びに幼稚園教諭に対しての家賃借り上げ支援補助等について要望しました。
萩生田大臣からは「コロナ禍の下で虐待のリスクが高まる中、学校において児童虐待を早期に発見し、関係機関と連携した支援を行うためには、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーの全公立中学校区分の配置に加えて、将来的には、常勤化とすることも必要ではないかと考えている。
ICTに関しては、授業全てをICTに代替するのではなくて、分かりやすく使っていただくということが大事であり、できるだけ派遣したICTの専門員を活用してほしい。教員のICT活用指導力の研修については、内容を充実させて、オンラインでの研修環境を用意するので、積極的に活用していただきたいと思っている。国としても東京都ともしっかり連携しながら教員のICT活用指導力の向上を進めていきたい。
35人学級は、小学校でスタートして、中学校でもしたいと思っている。
加配教員の配置については、まず各自治体が定数の教員を正規職員で確保していただきたい。
保育士家賃借り上げ支援補助は厚生労働省が保育園のためにスタートした制度で、これを似たような仕事だから幼稚園もと言われても、保育園にはない私学助成をどうするかも含めて検討が必要である。
幼稚園の教諭の成り手が足りないことについては、各区と相談したうえで危機感を持って要望していただけたと思うので、問題意識は受け止めさせていただき、今後、いろいろ考えていきたいと思っている。」等の発言がありました。

萩生田文部科学大臣に要望書を手渡す大和田会長(中央左)、田中副会長(右)、木内会計監事(左)

文部科学大臣への要望活動の様子
●法務大臣への要望
川原隆司刑事局長と面談し、子どもを性犯罪から守るため、刑法規定の見直しを求める要望をしました。
川原刑事局長からは、「性犯罪は許し難く、処罰すべき行為を的確に処罰するのが国の当然の考え方であり、検察が警察などの捜査機関と連携しながら行っていくべきである。
しかし、今後、法整備をするにあたり、様々な検討が必要となる。昨年、法務省に設置した検討会では、今年5月に論点整理を行った。
法改正をするにあたっては、しかるべきタイミングで法制審議会に諮問をして、その意見を踏まえて刑法規定の見直しを考えている。」等の発言がありました。
●内閣府特命担当大臣(地方創生)への要望
坂本哲志内閣府特命担当大臣(地方創生)と面談し、地方創生臨時交付金の地方単独事業分の早期交付と交付限度額算定方法見直しを求める要望をしました。
坂本大臣からは「令和2年度の地方創生臨時交付金及び令和3年度事業者支援分のうち3,000億円を交付し、2,000億円を留保している。
積算にあたっては、事業所数、人口等掛け合わせて最後に財政力指数を見ている。
このため、特別区はやや少なく感じると思うが、今後積算方法については、最大限努力したいと思っている。
また、2,000億円の留保分、経済対策、令和3年度第1次地方創生臨時交付金、補正予算を各自治体の要望内容を十分受け止め、財政当局に申し伝え、財源確保したいと思っている。」等の発言がありました。

坂本内閣府特命担当大臣(地方創生)に要望書を手渡す大和田会長(中央右)、田中副会長(左)、木内会計監事(右)
そのほか、以下のとおり要望書を郵送し提出しました。
- 1.財務大臣あて
- 新型コロナウイルス感染症対策に伴う総合的な支援を求める要望
- 加齢性難聴者の補聴器購入に関する要望
- 2.総務大臣あて
- 加齢性難聴者の補聴器購入に関する要望
- サイバーセキュリティー施策の更なる強化を求める要望
- 3.厚生労働大臣あて
- 新型コロナウイルス感染症対策に伴う総合的な支援を求める要望
- 保育士家賃借り上げ支援補助の更なる継続及び幼稚園教諭に対して保育士家賃借り上げ支援補助と同等程度の支援補助事業の実施を求める要望
- 障害児保育に対する予算の拡充を求める要望
- 加齢性難聴者の補聴器購入に関する要望
- 路上生活者対策事業の充実を求める要望
- 4.国土交通大臣あて
- 新型コロナウイルス感染症対策に伴う総合的な支援を求める要望
- 鉄道立体化事業の一層の推進を求める要望
- 5.経済産業大臣、経済再生担当大臣、内閣府特命担当大臣(新型コロナウイルス感染症対策)、内閣府特命担当大臣(新型コロナウイルス感染症ワクチン接種推進)、内閣府特命担当大臣(防災)あて
- 新型コロナウイルス感染症対策に伴う総合的な支援を求める要望
- 6.内閣府特命担当大臣(デジタル改革)あて
- サイバーセキュリティー施策の更なる強化を求める要望
1 新型コロナウイルス感染症対策に伴う総合的な支援を求める要望
提出先:財務大臣、厚生労働大臣
内閣府特命担当大臣(新型コロナウイルス
感染症ワクチン接種推進)
内閣府特命担当大臣(新型コロナウイルス
感染症対策)
内閣府特命担当大臣(防災)
経済産業大臣
経済再生担当大臣
国土交通大臣
文部科学大臣
昨年来の新型コロナウイルス感染症の蔓延及び防止対策の長期化により、地域経済や雇用環境への影響は深刻なものとなっている。また、累次にわたる社会経済活動の抑制や日常生活における様々な自粛への協力要請は、地域や区民生活に甚大な影響を及ぼしている。
このような中、感染症の収束と今後、区民が安心して暮らせる日常を取り戻すため、これまで以上に感染防止への取組を強化するとともに、各地域に応じた必要な施策に迅速・果敢に取り組んでいくことが必要である。
これらを踏まえ、以下の事項について要望する。
1 感染拡大防止及び医療等の充実
- (1) 新型コロナウイルス感染症対策として最も有効とされるワクチン接種が各地で行われている。接種スピードを上げ回数を増加させていくために、人員の確保が喫緊の課題となっており、医師会との連携に加えて人材派遣会社の活用も重要になってきていることから、国において必要な調整を行うこと。
- (2) 自治体に対し、速やかで安定的なワクチンの供給と情報提供を行うこと。またワクチン接種と予約に要する費用に対して、適切な予算措置を講じること。
- (3) 接種を担う医師・看護師等の確保等の地域の接種体制確保に係る経費について、地方交付税の対象とすることなく、「新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業」において全額国庫補助すること。
- (4) 新たな変異株の出現も危惧されるところから、国産ワクチン等の早期開発及び供給に全力で取り組み、社会的不安の解消に努めること。また、国産ワクチンの開発においては、先行ワクチンの普及により数万人規模の治験を実施することが困難である状況を踏まえ、緊急事態に対応する観点から条件付き早期承認制度の弾力的運用を図ること。
- (5) 介護施設従事者に加えて在宅介護従事者、保育事業従事者への定期的なPCR検査の実施に対して財政措置を講じること。
- (6) 海外からの渡航者への検査の徹底など、空港・港湾における水際検疫体制を強化すること。
- (7) 今年のゴールデンウィーク前後には、大阪府等で「救える命も救えない」と言われるほど病床数が不足していた。6月4日現在の新型コロナウイルスで入院・療養中の方は約4万7千人、うち重症者は1千人を超えている状況であったことから、国の責任の下で、重症患者用病床数の拡充と医療体制の再整備を行うこと。
- (8) 医療機関においては、感染患者の受入れのための施設改修や資機材・設備の導入に伴う経費の増加とともに、医療従事者増員に要する経費負担が経営を圧迫している。必要な支援が行き届くよう新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金を拡充するなど、十分な支援策を講じること。
- (9) 保育所、認定こども園等の児童福祉施設に従事する職員についても、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金による慰労金の支給対象とすること。
- (10) 感染拡大が長期化することによる不安や不満から心的ストレスが蓄積され、無意識のうちに他人や自分を傷つける行為が深刻化してきている。コロナ禍においても希望を持ち続けて生活ができるようメンタル面のケアが求められていることから、相談体制構築のための財政措置等の支援策を講じること。
2 経済支援・生活支援の強化
- (1) 中小企業・小規模事業者の事業継続を推進するため、政府系金融機関等による特別貸付の融資枠の拡大、無利子期間の延長など、更なる資金繰りの支援を強化すること。また、持続化給付金や一時支援金等の対象とならなかった事業者に対しても新たな給付金制度を設ける等支援を行うこと。
- (2) 緊急事態宣言等に伴う休業や時短営業等による事業収入の減少等を保障するために、持続化給付金や家賃支援給付金の第2弾の給付、雇用調整助成金のコロナ特例の更なる延長など、事業者等の休業等に伴う保障を強化すること。
- (3) コロナ禍により収入が減っている子育て世帯の経済的負担の軽減のため、更なる支援策の拡充を図ること。
- (4) 生活困窮者自立支援法に基づく住居確保給付金について、新型コロナウイルス感染症の影響により申請者が増加し、都市自治体の財政負担が大きくなっていることから、十分な財政措置を講じるとともに、より使いやすい制度となるよう更なる検討をすること。
- (5) 新型コロナウイルス感染症に感染したことにより働けなくなった場合には、本年9月末まで国民健康保険でも傷病手当金が支給されるようになった。
新型コロナウイルス感染症の収束は未だ見えておらず、最近は変異株によるものが多くなっていることから、引き続き、国民健康保険被保険者への傷病手当金の支給が必要であるため、傷病手当金の支給期間を更に延長すること。
また、新型コロナウイルス感染症に感染した場合に限らず、社会保険と同等の対象とすること。 - (6) 介護事業所は、感染症拡大防止に伴い、在宅介護を支える基盤となる区内のショートスティ、デイ・サービス事業の稼働率が大きく低下しており、運営自体が大変厳しい状況に陥っている。
人口が集中する特別区の実情と、感染による重症化リスクが高い高齢者に対する接触を伴うサービスが必要となる特徴を踏まえ、介護報酬の地域加算に賃貸料や人材確保に係るコストの反映や、新しい生活様式に即した制度の見直しを図ること。 - (7) 保育施設等においては、令和2年3月から認可保育園保育料等を、内閣府及び厚生労働省からの通知を踏まえ、登園日数に基づき減額措置を講じているが、保育料減額等に伴う負担については、施設型給付費等の負担割合に応じて、区立保育園は全額、私立保育園は1/4、認証保育所等についても区が1/2を負担するため、区財政への影響は、たいへん大きなものとなっている。
今後、変異株による次なる感染拡大の到来も念頭におき、必要な感染症対策と待機児対策を並行して安定的に実施していくため、国において更なる財源措置を講じること。 - (8) 低迷した地域経済を回復させるためには、公共事業による景気の下支えが必要であることから、公共施設、道路網の整備、国土強靱化等社会資本整備を強力に推進し、地域経済の活性化を図ること。
- (9) 観光産業を回復させるためには、感染症対策に対応した非来訪ツアーやオンライン体験等のサービス提供のほか、衛生面への配慮、安全・安心な観光地であることを発信し、新型コロナの収束後、一日でも早く観光客を呼び戻すことが必要である。
今後、産業観光を回復させ、経済を回復するためには、観光関連事業者の事業継続、活性化が必要であるため、より一層の支援を図ること。
3 児童・生徒等に対する取組
- (1) コロナ禍の下で虐待リスクが高まる中、子どもの見守りを強化できるよう関係機関との連携・調整を図るために必要な財政措置を充実すること。
- (2) GIGAスクール構想により公立小・中学校において、学校のICT化が進む中、新しい教育様式に対応した児童・生徒の多様な学習を推進していくため、教員のICT活用指導力の向上及びその人材の確保が課題となっていることから必要な対策を講じること。また、併せて子どもたち一人ひとりに応じた丁寧な指導を行っていくための少人数学級の推進及び加配教員の配置等に対する十分な人的・財政的支援を講じること。
4 避難所運営への支援
特別区は、感染症の終息が見通せない中、災害発生に備え、感染予防が徹底された避難所運営のために、過密状態を防ぐためのスペースの確保や、十分な換気の実施、さらに衛生環境の保全等の様々な方策に取り組んでいる。
また、流行の主体が感染力の強い変異株に置き換わることにより、避難所生活で他の住民と区画が必要となる健康観察者数の増加が懸念されるなど、新たな局面を迎え、避難所運営の更なる工夫が求められる事態となっている。
こうした実情を踏まえ、特別区への更なる財政支援とともに、避難スペースとして国施設を積極的に提供する等の一層の支援をすること。
2 地方創生臨時交付金の地方単独事業分の早期交付と交付限度額算定方法見直しを求める要望
提出先:内閣府特命担当大臣(地方創生)
国の令和3年度予算では、東京都を含めた地域において緊急事態宣言が再発出されたことから、地方創生臨時交付金の特別枠として令和3年4月に、事業者支援に限定した「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」制度が創設され、5,000億円の予算が計上された。その内、3,000億円については、令和3年6月から都道府県に対して順次交付されており、東京都に対しては245億8,500万円を限度として交付されることとなっている。この交付金制度については、都道府県のみを対象としたものとなっており、市区町村は交付対象外となっている。
令和2年度においては、すべての地方公共団体を対象とした地方創生臨時交付金が交付され、特別区は、各区の交付限度額の範囲で、各種コロナ対策に活用しているが、令和3年度においては、一部の繰り越し部分を除いて現時点で交付金の予定がない。
また、令和2年度の地方創生臨時交付金の限度額の算出にあたっては、財政力や人口規模に基づき割り落とされており、東京都の感染者数や人口規模に見合った算定となっておらず、特別区の交付限度額は他自治体と比較して相対的に低い額となった。
特別区の財政需要は一層高まっているため、負担額は増え続けていることから、以下の事項について要望する。
- 1 昨年度と同様、令和3年度も含めて、特別区を対象とした新型コロナウイルス感染症対応のための地方創生臨時交付金を交付すること。
- 2 地方創生臨時交付金をさらに拡充し、地域の実情に応じ適切かつ弾力的に運用できる制度とすること。
- 3 交付限度額の算定にあたり、人口が多く、感染者が全国でも最も多い特別区に見合った額となるよう、算定方法を見直すこと。
3 保育士家賃借り上げ支援補助の更なる継続及び幼稚園教諭に対して保育士家賃借り上げ支援補助と同等程度の支援補助事業の実施を求める要望
提出先:厚生労働大臣
文部科学大臣
特別区においては、保育園等待機児の解消に向けて取り組んできた経緯の中で保育人材確保に向けて保育士家賃借り上げ支援補助を実施し、待機児童数の減少傾向の推移からも高い効果を上げている。各区により財政状況も異なることから保育人材確保には広域に共通の支援施策が望ましく、仮に本事業が打切りとなった場合には人材確保が困難に陥ることも想定され、安定的な保育環境の維持に支障をきたすことや、保育人材確保に自治体レベルでの偏在が生じることも想定される。
幼稚園と保育園において人材確保の支援施策に大きな差が生じ、手薄な幼稚園は人材確保に苦慮している実態がある。幼保が共に活躍してこそ、充実した子育て環境が実現をしていくものと考える。
これらの趣旨を踏まえ、以下の事項について要望する。
- 1 保育士家賃借り上げ支援補助を次年度以降も継続すること。
- 2 幼稚園教諭に対して保育士家賃借り上げ支援補助と同等程度の支援を行うこと。
4 障害児保育に対する予算の拡充を求める要望
提出先:厚生労働大臣
保育所での障害児の受入れは年々増加し続けている。2018年度末時点での全国における受入れ児童数は7万8,809人、施設数は1万8,137カ所となり、2011年度と比べて児童数は約1.7倍に上っている。一方で実際に障害児保育を担当する職員数は2017年度末で3万5,010人で前年比11.9%増、内、非常勤職員の占める割合は38.8%となっている。また、自治体によって児童一人あたり保育士の配置数に差が生じているのが実態である。
2015年から始まった『子ども・子育て支援新制度』では、障害児保育について、小規模保育等地域型保育施設には公定価格における加算があるものの、その他の保育施設に対しては位置づけがなく、地方交付税による措置となっている。全国では11県が独自の補助を行っているが、専門職員の確保や育成に課題がある。また、施設改修についても改善が求められており、更なる対策が必要である。
今後さらに障害児の受入れを増やし、保育の充実を図るためにも、障害児保育に対する予算の拡充を求め、以下の事項について要望する。
- 1 障害児保育のための職員配置について加算すること。
- 2 心理士等専門職員を配置できるようにすること。
- 3 保育職員の専門性を高めるため、研修への参加保障と内容の充実を図ること。
- 4 施設改修に関する補助金の要件緩和と金額を引き上げること。
5 加齢性難聴者の補聴器購入に関する要望
提出先:財務大臣
総務大臣
厚生労働大臣
我が国の総人口に占める65歳以上の割合は28パーセントを越え、日本は超高齢社会を迎えている。そのような状況の中、他者からの情報や想いを受け取り、人と人とのコミュニケーションを支える重要な機能である聴覚について、加齢による難聴、いわゆる加齢性難聴者が増加しており、高齢者の社会参加への障壁となっている。
加齢性難聴は社会的に孤立させる原因となり、会話することで脳に入ってくる情報が少なくなることから、脳の機能の低下につながり、うつや認知症になると考えられている。
加齢性難聴への対策として補聴器の使用が挙げられるが、難聴の状態は一人ひとり異なるため、補聴器を適切に、かつ、効果的に使用するためには補聴器相談医への受診、補聴器の購入後も専門知識を持つ認定補聴器技能者との調整が必要となる。また、補聴器の価格は片耳当たり概ね3万円から20万円と高額で、かつ、保険適用ではないため全額自己負担となっている。購入後に医療費控除を受けられる場合もあるが、対象者はわずかである。
高齢者が、加齢性難聴になっても生活の質を落とさず、心身共に健やかに社会参加するための補聴器購入に関する支援が求められている。
よって、以下の事項について要望する。
- 1 加齢性難聴の早期発見及び補聴器を必要とする人が適切な補聴器を購入し、継続して使用できる仕組みづくりを進めること。
- 2 補聴器の購入費用の助成を進めること。
6 路上生活者対策事業の充実を求める要望
提出先:厚生労働大臣
路上生活者対策事業は、特別区と東京都の取組だけでは、権能面、財政面で限界があり、抜本的な解決のためには、本来国の責任において行うべきである。
特別区と東京都は、平成12年度より共同でホームレスの就労自立を目指す路上生活者対策事業を推進しており、これまでも様々な対策を実施してきた。
その結果、特別区の路上生活者数については、減少傾向がみられるところであるが、引き続き、積極的に路上生活者対策事業の充実に取り組む必要がある。
さらに、新型コロナウイルスの感染拡大が続き、解雇や雇い止め等によって仕事や居場所を失う人の増加も懸念されている。
よって、以下の事項について要望する。
- 1 路上生活者が一部の都市部自治体へ集中している実態は、特定の大都市だけの問題ではなく、一方の自治体にとっては人口流出の課題でもある。対応については、地方公共団体と連携し、抜本的な対策を講じること。
- 2 路上生活者問題を解決するため、総合的な対策を行うとともに、十分な財政措置を継続して行うこと。
- 3 路上生活者の生活再建を図るため、雇用の創出に取り組むこと。また、生活や住居に困窮している離職者等に対する雇用支援を行うこと。
- 4 多くの路上生活者が、地方からの流入による大都市の問題であることを考慮し、事業の実施にあたっては、自立支援センターの建設費及び運営費について、全額国庫補助を行うなど、一層の支援策を講じること。
- 5 路上生活者問題は、大都市が抱える問題であるため、住所不定者の保護費等について大都市の自治体のみが負担することは、財政的公平性を欠いていると言わざるを得ない。よって、生活保護法第73条により都道府県の負担分とされる住所不定者の保護費等については、全額を国庫負担とすること。
7 サイバーセキュリティー施策の更なる強化を求める要望
提出先:総務大臣
内閣府特命担当大臣(デジタル改革)
インターネットが国民生活や経済活動に不可欠な社会基盤として定着し、サイバー空間が新たな社会領域として日常生活の一部となっている中で、コロナ禍による急激な社会経済活動の変容は、リモートによるテレワークなど、新しい生活様式の定着とデジタル化を一層加速させた。
地方行政においても、行政手続きのオンライン化やGIGAスクール構想における情報リテラシー教育の推進など、デジタル化へ向けた取組や普及啓発活動が一層、高まっている。
一方で、キャッシュレス決済サービスの不正利用やフィッシングによるアカウントの乗っ取り、さらには国家の関与が疑われるサイバー攻撃など、サイバー空間の脅威が顕在化、深刻化していることも事実である。
令和2年12月に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」では、令和3年9月にデジタル庁を設置し、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」に向けて、行政サービスを抜本的に向上させることとしているが、誰もが安心して参加できるデジタル社会を形成するためには、個人情報保護の徹底や自己情報をコントロールする権利を保障するなど、行政への信頼感が醸成された上で、安全なサイバー空間を確保することが必要不可欠である。
これらの趣旨を踏まえ、サイバー攻撃等の脅威やデジタル社会の実現に適切に対処していくために、サイバーセキュリティー施策の更なる強化と迅速かつ重点的な推進を強く求める。
8 子どもを性犯罪被害から守るため、刑法規定の見直しを求める要望
提出先:法務大臣
性犯罪は被害者の心身に大きな後遺症を残し、その後の人生を左右する魂の殺人であり悪質な犯罪である。
刑法を性被害の実態に即したものに改正し、関連法整備や性犯罪被害者支援施策の強化を早急に行うことが必要である。
性行為同意年齢については、明治時代に制定されて以来、「13歳以上」との規定のままとなっている。この規定により性犯罪被害者が13歳以上の場合、裁判で暴行脅迫が立証できなければ、加害者は罪に問われない状況となっている。
そのため、2019(平成31)年3月には、無罪とされる判決が相次ぎ、被害者の同意のない行為だと裁判で認定されながらも被害者の状態が抗拒不能状態だったとするには合理的な疑いが残るとして無罪となったケースもあり、改正後の規定でもなお不十分であることが指摘されている。
また、改正後も、罪が成立する為に要求されるハードル・要件が非常に高いままとなっており、刑法の規定において、強制性交等罪・強制わいせつ罪等は「暴行」「脅迫」、準強制性交等罪・準強制わいせつ罪等は「心神喪失」「抗拒不能」が起訴の要件となっている。
さらに、性犯罪被害者の年齢が幼い事例もあり、その時点では、性知識が不足しており、自身が被害を受けても何をされているか判断できないという問題もある。そうしたことからも、被害者が表立って声を上げるには長い年月がかかり、その被害を認識し、被害届を提出したいと願い出た時には、時効を迎えているというケースも少なくはないと聞き及ぶ。
以上の刑法規定に関することに加えて、未成年者を性犯罪被害から守るには、加害者が再犯者である事件も多いことから、再犯防止の取組を強化することも重要な視点である。
このようなことから、子どもを性犯罪被害から守るため、国においては、未成年の性犯罪被害者が置かれている実態や環境等を考慮した刑法規定の見直しや法改正等を行うよう、以下の事項について要望する。
地位・関係性等の立場を利用した性交についての処罰規定の創設や、性交同意年齢の引き上げ、公訴時効の期間延長等の課題について再検討を行い、性被害の実態に即した法改正に取り組むこと。
9 鉄道立体化事業の一層の推進を求める要望
提出先:国土交通大臣
東京都内においては、まだ数多くの踏切が存在し、事故の危険性や交通渋滞の発生によって道路交通円滑化の大きな妨げとなっている。また、鉄道により分断された地域では、経済活動や日常生活への影響など、深刻な課題を長年抱え、一体的なまちづくりが進まない状況にもなっている。
こうした状況を改善する最も効果的な事業が、鉄道立体化事業である。
区では鉄道立体化について、これまで関係機関との継続的な検討を進めるとともに、地元住民組織等と鉄道立体化に併せた総合的な駅周辺のまちづくりについての検討を重ねてきたところである。
しかしながら、鉄道立体化事業は、都市計画事業であり、計画から完了まで莫大な事業費と長い期間を要することから、区施行による事業を着実に完了させるには、財政面における手厚い支援が必要となる。
これらの趣旨を踏まえ、以下の事項について要望する。
- 1 区施行の事業化に対し、地域の実情に応じた財政的支援を拡充すること。
- 2 事業を安定的に推進することができるよう、毎年度予算を確保すること。