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要望活動・決議

○令和3年度国の施策及び予算に関する要望活動を実施

 8月6日、押田まり子会長(中央区)、高橋かずちか副会長(中野区)、和田ひでとし会計監事(世田谷区)の3名が文部科学省、厚生労働省を訪問し、要望活動を行いました。また、総務大臣、財務大臣、内閣府特命担当大臣(防災)、国土交通大臣、内閣府特命担当大臣(地方創生)、経済産業大臣、経済再生担当大臣、農林水産大臣、環境大臣あてに、要望書を提出しました。

●文部科学大臣への要望
 萩生田光一文部科学大臣と面談し、新型コロナウイルス感染症対策に伴う十分な財政措置及びGIGAスクール構想の早期実現に向けての支援充実について要望しました。
 萩生田大臣からは、「子どもたちの健やかな学びを最大限保障するために、文科省をあげてしっかり積極的な体制をとっていきたいと考えている。国は、感染症対策などの徹底や学習保障として予算計上し、申請のあったものはすでに交付決定し、23区へ割り振ったところである。また、スクール・サポート・スタッフ配置のための費用についても、希望する自治体に対しては、予算措置ができたものと思っている。
 GIGAスクール構想は、コロナ禍で一気に加速することになり、小中学生一人1台の購入費用については、国が裏打ちしている。一日も早い整備のために、自治体の迅速な予算決定や契約締結にご協力いただきたい。また、環境整備については、東京都と相談して進めてもらうほか、国立大学等を経由し全国でつながっているSINET(サイネット)を活用していただくのも良いのではないかと考えている。
 ICTの分野は日進月歩で、今後の継続を心配されていると思うが、一人1台は当たり前の時代をつくろうと思っている。義務教育の必須のツールということにしてしまえば、国がきちんとした形で一定程度の負担をしていくことになると思う。
 今後、現在の一クラス40人をソーシャルディスタンスが取れる30人にして、机もパソコンが置ける大きさに変える『令和時代の新しい学校像』をこの機に提案していきたいと思っている。」等の発言がありました。

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【文部科学省】文部科学大臣に要望書を手渡す押田会長(真ん中左)
高橋副会長(左)、和田会計監事(右)

 

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要望活動の様子

 

●厚生労働大臣への要望
 神ノ田昌博健康局健康課長、鈴木貴士医政局医療国際展開推進室長と面談し、新型コロナウイルス感染症対策に伴う総合的な支援として、医療検査体制の充実や保健所機能の強化のための財政措置等について要望しました。
 神ノ田課長からは、「保健所の皆さんには、最前線で日夜頑張っていただいている。保健所機能の充実を図るため、通常の職員数で対応しきれないときの外部委託に係る費用については、包括支援交付金の対象であり、実質10分の10国でカバーできるので、ご活用願いたい。また、各保健所には、感染者に対する即応体制の整備に取り組むよう通知しており、全国で統一して運用しているHER−SYS(ハーシス)の活用とあわせて、引き続き即応体制の整備を進めたい。」等の発言がありました。
 鈴木室長からは、「医療体制の強化については、各自治体には、今後の流行拡大に備えた病床の確保などをお願いしているが、国としては、重点医療機関や協力医療機関を設定していただき、より円滑でしっかりとした医療体制が構築されるよう、補正予算を組み財政的支援も可能とした。さらに地域の医療体制の強化を図るため、物資、資機材等を含め、国からの財政的な支援を広く活用していただきたい。」等の発言がありました。

そのほか、以下のとおり要望書を郵送し提出しました。

  1. 1.財務大臣
    • 新型コロナウイルス感染症対策に伴う総合的な支援を求める要望
    • GIGAスクール構想実現に関する要望
  2. 2.国土交通大臣
    • 新型コロナウイルス感染症対策に伴う総合的な支援を求める要望
    • 鉄道立体化事業の一層の推進を求める要望
  3. 3.総務大臣、内閣府特命担当大臣(防災)、内閣府特命担当大臣(地方創生)、経済産業大臣、経済再生担当大臣、農林水産大臣あて
    • 新型コロナウイルス感染症対策に伴う総合的な支援を求める要望
  4. 4.環境大臣
    • 生態系への影響が深刻化するプラスチックごみ対策の強化を求める要望

1 新型コロナウイルス感染症対策に伴う総合的な支援を求める要望

提出先:総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣
内閣府特命担当大臣(防災)
内閣府特命担当大臣(地方創生)
経済産業大臣
経済再生担当大臣
農林水産大臣
国土交通大臣
文部科学大臣

 今、日本は世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症により、かつて経験したことのない闘いの渦中にある。
 特に、人口の集中する特別区においては、医療、区民生活、教育環境、経済活動等に甚大な影響が生じている。
 政府は、5月25日、新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という。)の拡大に伴う緊急事態宣言を全面的に解除するとともに、段階的に社会経済活動を再開していく方針を示した。
 感染拡大を予防する「新しい生活様式」の定着に向けた取り組みが進む中、大都市を中心に新規感染者の増加が確認されるなど、依然として予断を許さない状況にある。
 さらなる感染拡大に備えて医療・検査体制を強化しつつ、落ち込んだ経済や停滞した社会活動の一刻も早い立て直しが求められる。
 よって、以下の事項について速やかな実施を要望する。

1 医療・検査体制等の充実・強化

  1. (1) 医療体制の強化
    • 適切な医療を全ての患者に提供できるよう地域における必要な病床確保・資機材の整備や医療体制の強化を支援すること。
    • 感染症患者受入れに係る診療報酬を拡充するとともに、地域医療を支える病院・診療所に対し、経営継続のための経済的支援を行うこと。
    • 地域医療体制を維持するため、地方自治体が行った施策に対する財政措置を行うこと。
    • 感染症指定医療機関と一般医療機関等との役割分担や感染者のトリアージ、関係機関との連携等の検証を行うとともに、それらを踏まえた上で、国、都道府県、市区町村及び医療機関(公立・民間)などの相互の役割を明確にした体制を構築すること。
    • 災害時や健康危機管理事象発生時に、最前線での治療について多くの知見を有する自衛隊中央病院と特別区が連携・協力できるよう必要な環境整備を行うこと。
  2. (2) 検査体制の強化
    • PCR、抗体、抗原検査等の新型コロナウイルス感染症に係る検査体制の整備を進めること。
    • 都内に国のPCR検査センターを設置し、区民の迅速な検査体制を確保すること。
    • 特別区が運営するPCR検査センターの検査拡充に向けた運営費を補助すること。
    • 軽症者が速やかにPCR検査を受けられるよう検査基準を設けること。
    • 新型コロナウイルス抗原・抗体検査の受診を普及啓発し、抗原・抗体検査ガイドラインの策定や検査キットの支給を行うこと。
  3. (3) 保健所機能の充実
    • 感染症の相談窓口となる保健所の体制強化と人員処遇改善のための財政措置を講じること。
    • 保健所の体制強化のための公衆衛生医師の必要数確保について、医師の育成及び地域偏在の是正など適切な配置のための方策を講じること。
    • 健康危機管理対応のための資機材について、国における資機材確保だけではなく、地方自治体における備蓄への財政支援を行うとともに相互の支援環境を整備し、緊急時に必要な資機材の確保を図ること。

2 経済支援、雇用対策等の強化

  1. (1) 経済対策の強化
    • 地域経済への影響を最小限にとどめるため、中小事業者等への資金繰り対策を講じるとともに、金融機関に対し貸し渋り等を行わないよう、また、迅速に資金を提供できるよう要請すること。
    • 必要な支援が事業者等に速やかに届くよう、申請手続から支給までの期間の短縮化を図ること。
    • 雇用調整助成金の手続きの簡素化や審査手続きの迅速化の方策を講じること。
    • 持続化給付金の支給要件を緩和すること。
    • 景気浮揚、地域経済底上げに向けて区が行う取り組みに対する財政支援を行うこと。
    • 観光産業の回復による経済回復を図るため、観光関連事業者の事業継続、活性化に向け、より一層の支援を行うこと。
  2. (2) 介護事業者への支援
    • 介護事業所における収入減や介護人材不足の状況を踏まえた介護報酬の見直し、減収補填、さらにはサージカルマスクやグローブ、消毒液等の衛生用品購入費用の助成など、介護事業の継続に向けた総合的な支援を拡充すること。
    • 介護・障害福祉事業所の職員への慰労金の支給については、第二次補正予算で決定したところであるが、事業者への一括給付では従事者に届かない懸念があるため、介護従事者への給付について、十分な情報発信を行うこと。
  3. (3) 保育事業所への支援
    登園人数に基づく保育料の減額措置に伴う区負担額の財政への影響がたいへん大きなものになっていることから、待機児対策と必要な感染症対策を並行して安定的に実施していけるよう、さらなる財源措置を講じること。
  4. (4) 生活困窮者支援
    • 税、国民健康保険料等の支払い猶予延長など個々の状況に寄り添った支援を行うこと。
    • 住居確保給付金の要件緩和、支給額及び支給期間に関しては、状況に応じて柔軟に対応すること。

3 避難所運営への支援

  1. 近年、大型な台風や記録的な豪雨等が多発するなど災害が常態化してきている中、新型コロナウイルス感染症の脅威にも対応できる避難所運営が求められている。このことから、既存の避難所の環境整備及び「密」を避けるための新たな避難所確保に要する経費について、財政支援を行うとともに感染症対策を踏まえた避難所運営のあり方について、国民の理解が深まるよう周知方法について必要な対策を講じること。

4 地方公共団体への財政支援

  1. (1) 地方税減収への対応等
    • 地方税の減収分を国が補填する緊急的な財政支援策を構築すること。
    • 法人住民税が年度途中に大幅に減収した場合に、特別区においても減収補填債を発行できるよう、早急に制度を構築すること。
    • 地方分権の流れに逆行する不合理な税制改正を見直し、地方財源の不足は、国の財源により責任をもって対応すること。
  2. (2) 学校運営等に係る財政措置
    • 小中学校の臨時休業等による児童生徒の学力低下の防止等に対し、各自治体が実施する事業の経費については、十分な財政措置を講じること。
    • 臨時休業等に伴い自治体が行う給食費の無償化や放課後児童クラブの保護者負担金の無償化等に係る財源については、全額国庫負担とし、当該クラブに対しても、適切な運用が図れるよう、財政措置等を講じること。
  3. (3) 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の追加交付措置等
    • 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、交付限度額の算定方法について、感染者数が全国で最も多く産業も集積する大都市特別区における社会・経済への影響が十分考慮されていない。特別区の行う感染症対策に必要な需要額が措置されるよう追加の財政支援及び今後の配分方法の見直しを行うこと。

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2 GIGAスクール構想実現に関する要望

提出先:文部科学大臣
財務大臣

 国により「GIGAスクール構想」の実現が前倒し実施とされ、各地方自治体は、児童生徒1人1台の学習用端末を配備し、高速大容量の通信環境を今年度中に整備することとなった。
 一方、国庫補助金の対象は、学習用端末等の購入費(1台4.5万円)と校内LAN整備費にとどまり、実施における財源の多くを各自治体の独自財源に依存している現状である。
 今後、多額の学習用端末の維持コスト(機器のリース料・ネットワーク通信料・保守費用など)が恒常的に区負担となる仕組みとなっており、継続的な財政支援が必要である。
 さらにツールとしてICT機器及びその通信環境を最大限効果的に活用していくためには、基盤となる通信環境を整え、学力向上に直結する先進的な技術や研究成果の導入反映も必要となる。国が技術提供の主体となり、各区の取り組みを強力に支えていくべきである。
 児童生徒のICT環境を構築し、様々な学習機会を創出するため、十分な財源措置の拡充を図るよう、以下の事項について要望する。

  1. 1 GIGAスクール構想に要する財源は、公教育に求められる公平性の観点から全て国の継続的な負担によって賄うこと。
  2. 2 学力向上につながる施策実現のため、先端技術及び教育ビッグデータの効果的活用を推進し、支援すること。
  3. 3 基盤となるICT環境の整備を拡充すること。
  4. 4 効果的な学習を保障するためには、授業内容や指導方法が重要であるため、教材の開発や指導する教員の研修・育成、ICT支援員等人材確保などのソフト面についても、支援を充実すること。

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3 鉄道立体化事業の一層の推進を求める要望

提出先:国土交通大臣

 東京都内においては、まだ数多くの踏切が存在し、事故の危険性や交通渋滞の発生によって道路交通円滑化の大きな妨げとなっている。また、鉄道により分断された地域では、経済活動や日常生活への影響など、深刻な課題を長年抱え、一体的なまちづくりが進まない状況にもなっている。
 こうした状況を改善する最も効果的な事業が、鉄道立体化事業である。
 区では鉄道立体化について、これまで関係機関との継続的な検討を進めるとともに、地元住民組織等と鉄道立体化に併せた総合的な駅周辺のまちづくりについての検討を重ね、区施行による事業として、現在、工事を進めているところである。
 しかしながら、鉄道立体化事業は、計画から完了まで莫大な事業費と長い期間を要することから、区施行による事業執行は、非常に難しい状況となっている。
 これらを踏まえて、以下の事項について要望する。

  1. 1 鉄道立体化事業に対し、財政的支援措置を拡充すること。
  2. 2 事業を安定的に推進することができるよう、毎年度予算を確保すること。

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4 生態系への影響が深刻化するプラスチックごみ対策の強化を求める要望

提出先:環境大臣

 プラスチックごみによる海洋汚染が年々深刻化していることに伴い、欧州各国を中心に使い捨てプラスチック製品の規制に向けた動きが強まる中、昨年6月のG20大阪サミットで採択された「大阪首脳宣言」では、2050年までに海洋プラスチックごみによる新たな汚染をゼロにすることをめざす「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の共有が盛り込まれた。
 国連環境計画(UNEP)の推計によれば、プラスチックごみの廃棄量は年間3億トンに及ぶとされ、そのうち800万トンが海に流入しているといわれる。このまま推移すれば、2050年にはプラスチックごみの廃棄量は現在の約4倍に増大し、海洋プラスチックごみの総重量が海にいる魚の総重量を上回るというショッキングな推計も示されている。海に流出して5ミリ以下になったマイクロプラスチックは海洋生物に深刻な被害をもたらすだけでなく、人体への影響も懸念されている。
 日本のプラスチック生産量は世界第3位で、さらに1人当たりの使い捨てプラスチックごみの廃棄量は世界第2位の多さであり、この問題に国際的な責任を果たすべき立場にあるが、その対策は立ち遅れている。回収した年間150万トンのプラスチックごみを「資源」という位置づけでアジア諸国に輸出して処理を委ねてきたが、中国が輸入規制を始めたことや、バーゼル条約が改定されたことで、汚れたプラスチックごみについて相手国の同意のない輸出が禁じられることになったため、これまでの処理対策を根本から見直さざるを得なくなっている。
 国際社会では、増え続けるプラスチックごみ問題への対策として、使い捨てプラスチック製品の製造・流通・販売の規制に踏み込み、生産・使用そのものを削減する流れが広がっている。しかし日本では、規制は設けられておらず、削減の取り組みは企業の自主努力任せとなっている。日本がプラスチックごみの排出量を減らしていくためには、廃棄・リサイクル段階のみならず、製造・流通・販売の各段階においても実効性ある施策を進めるための法整備が一刻も早く求められている。
 よって、これらを踏まえて、以下の事項について要望する。

  1. 1 プラスチックごみについては、国内での回収・処理を最優先とするほか、海へ流出するごみの量を極力抑えるため、日本が国際連携の枠組みの構築や、アジア諸国への技術支援・協力に対して主体的・先導的役割を果たしていくこと。さらに、プラスチック資源として再利用することを基本とした処理システムを一刻も早く構築すること。
  2. 2 使い捨てプラスチック製品の製造・流通・販売の各段階においても、削減の取り組みを企業・業界の自主努力任せとせず、国として新たに削減に向けた法制度の検討を図ること。

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5 路上生活者対策事業の充実を求める要望

提出先:厚生労働大臣

 路上生活者対策事業は、特別区と東京都の取り組みだけでは、権能面、財政面で限界があり、抜本的な解決のためには、本来国の責任において行うべきである。
 特別区と東京都は、平成12年度より共同でホームレスの就労自立を目指す路上生活者対策事業を推進しており、これまでも様々な対策を実施してきた。
 その結果、特別区の路上生活者数については、減少傾向がみられるところであるが、引き続き、積極的に路上生活者対策事業の充実に取り組む必要がある。
 さらに、新型コロナウイルスの感染拡大が続き、解雇や雇い止めによって仕事を失う人が増えているほか、ネットカフェなどの休業で居場所を失う人の増加も懸念されている。
 よって、以下の事項について要望する。

  1. 1 路上生活者が一部の都市部自治体へ集中している実態は、特定の大都市だけの問題ではなく、一方の自治体にとっては人口流出の課題でもある。対応については、地方公共団体と連携し、抜本的な対策を講じること。
  2. 2 路上生活者の問題は、福祉・医療・就労・住宅等多岐にわたり、それぞれの施策の横断的連携が必要である。この問題を解決するため、総合的な対策を行うとともに、十分な財源措置を継続して行うこと。
  3. 3 路上生活者の生活再建を図るため、雇用の創出に取り組むこと。また、生活や住居に困窮している離職者等に対する雇用支援を行うこと。
  4. 4 東京都と特別区は、共同で様々な路上生活者対策事業を展開している。多くの路上生活者が、地方からの流入による大都市の問題であることを考慮し、事業の実施にあたっては、自立支援センターの建設費及び運営費について、全額国庫補助を行うなど一層の支援策を講じること。
  5. 5 住所不定者の保護費等について大都市の自治体のみが負担することは財政的公平性を欠いていると言わざるを得ない。
     よって、生活保護法第73条により都道府県の負担分とされる住所不定者の保護費等については、全額を国庫負担とすること。

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