特別区議会議長会
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要望活動・決議

○特別区議会議長会、国に対し要望活動を実施

 特別区議会議長会は、令和9年度の国の施策及び予算編成に向けた要望活動を行いました。
 要望内容は、各区議会議長から提出された項目をもとに、7月の議長会総会で決定されたものです。
 特別区議会議長会の土屋準会長(港区議会議長)、渡辺清人幹事(新宿区議会議長)、石川ナオミ幹事(世田谷区議会議長)が8月3日(月)午前に財務省及び総務省を訪問し、要望活動を行いました。また、同日午後に土屋会長、渡辺幹事、石川幹事、川北直人幹事(江東区議会議長)が国土交通省を訪問し、要望活動を行いました。

●財務大臣への要望
 片山さつき大臣と面談し、①不合理な税制改正の是正及び地方税財源の充実強化、②ふるさと納税制度の抜本的見直し、③ 下水道事業等における地方公共団体への国の積極的な支援の3項目を要望しました。
 土屋会長から、法人住民税の一部国有化や地方消費税の清算基準の見直し、ふるさと納税等の不合理な税制改正が行われ、特別区の貴重な税源は一方的に奪われている。その一方で、首都直下地震への備えや公共施設の老朽化対策等、膨大な財政需要を抱えており、財源の確保は不可欠である。特別区をはじめ、地方自治体が責任を持って行政サービスを提供していくためには、地域間の税収格差是正を限られた地方税財源の中で配分調整するのではなく、国の責任において行うべきである等、要望の趣旨を説明しました。
 片山大臣からは、特別区は特別なことができる自治体なんだなということはよく分かっている。住民が多いということは、社会関係の予算も増えるということである。給食無償化など、特別区の対応は早く素晴らしいことだと私は思うが、周囲から見たら財政上のことがどうしてもある。だから、お互いが気持ちよく歩み寄れる方法を考えるしかないと思っているし、少しのきっかけでも災害支援などを特別区が進んで行ったりすると違うのではないか。等の発言がありました。

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財務省 片山大臣に要望書を手渡す土屋会長(中央左)、渡辺幹事(右)、石川幹事(左)

 

●総務大臣への要望
 原邦彰事務次官と面談し、①不合理な税制改正の是正及び地方税財源の充実強化、②ふるさと納税制度の抜本的見直し、③システム標準化に係るデジタル基盤改革支援補助金の制度見直し、④巨大災害発生に対する対応体制整備の4項目を要望しました。
 土屋会長から、ふるさと納税制度による住民税の減収額は大幅に増額しており、行政サービスに対する影響が深刻な課題となっている。制度本来の趣旨に沿った見直しを早急に行う等、要望の趣旨を説明しました。
 原事務次官からは、ふるさと納税の話というのは、制度として返礼品がもともとあったわけではなく寄付してもらったら感謝ということであって功罪両面あると思うが、やはりポータルサイトが本来のふるさと納税の趣旨ではなく、明らかにカタログショッピングになっているため、我々も手をこまねいているだけじゃなくて、ポイント廃止に踏み切った。現状も、自治体がサイトへ支払う手数料を下げさせることについて、調整を進めている。ふるさと納税について、是非、皆さんと連携して、制度本来のあるべき姿に戻したいと考えている。等の発言がありました。

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総務省 原事務次官に要望書を手渡す土屋会長(中央左)、渡辺幹事(右)、石川幹事(左)

 

●国土交通大臣への要望
 佐々木紀副大臣と面談し、①航空機の安全確保、②鉄道の連続立体交差事業の一層の推進、③事前復興まちづくり計画の策定支援、④下水道事業等における地方公共団体への国の積極的な支援の4項目を要望しました。
 土屋会長から、大規模災害発生後には、被災自治体は速やかに復興まちづくり計画の策定や着実な事業実施が求められている。そのため、国土交通省では、自治体の復興まちづくりの目標や手順等の指針となるガイドラインを策定しているが、自治体における事前復興まちづくり計画の取組状況は復興体制や手順の検討にとどまっており、被災後の迅速な復興に向けて、防災・安全交付金の拡充、自治体への技術的助言等、要望の趣旨を説明しました。
 佐々木副大臣からは、熊本地震もあって、全国的にまちづくり計画に関する関心というのは高まっていますので、ぜひ皆さんに取り組んでいただきたい。特に首都直下、南海トラフと言われているので、該当する地域の皆さんには取り組んでいただきたい。そのためには、財政支援、技術的支援を国が行わなければならないと思っているので、いただいた現場の声、今日いただいたご意見も踏まえながら、今後進めさせていただきたいと思っている。等の発言がありました。

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国土交通省 佐々木副大臣に要望書を手渡す土屋会長(中央左)、渡辺幹事(中央右)、石川幹事(右)、川北幹事(左)

 

そのほか、以下のとおり要望書を郵送し提出しました。

  1. 1.厚生労働大臣あて
    • 国民健康保険制度の持続可能性確保に向けた財政支援制度への転換に関する要望
    • 民間病院の経営環境の改善と地域医療体制の維持に関する要望
  2. 2.内閣府特命担当大臣(防災)あて
    • 巨大災害発生に対する対応体制整備を求める要望
  3. 3.内閣府特命担当大臣(地方創生)あて
    • 不合理な税制改正の是正及び地方税財源の充実強化を求める要望
  4. 4.デジタル大臣あて
    • システム標準化に係るデジタル基盤改革支援補助金の制度見直しを求める要望
  5. 5.復興大臣あて
    • 事前復興まちづくり計画の策定支援を求める要望

1 不合理な税制改正の是正及び地方税財源の充実強化を求める要望

提出先:総務大臣
内閣府特命担当大臣
(地方創生)
財務大臣

 「地方創生の推進」と「税源偏在是正」の名のもと、法人住民税の一部国税化や地方消費税の清算基準の見直しなどにより、これまでの特別区への影響額は、令和7年度単年度で総額3,600億円余、平成27年度からの累計では総額2兆3,000億円余にものぼっており、貴重な税源が一方的に奪われ続けている。さらに、令和8年度与党税制改正大綱では、東京都が課税する特別区の土地に係る固定資産税について見直しの方針が示され、特別区の貴重な税源をさらに吸い上げる動きが見受けられる。地方税を国税化して再配分する手法は、応益負担という地方税の根本原則を著しく歪めるものである。
 特別区は、首都直下地震への備えや高齢者対策、子育て支援策、さらには公共施設や公共交通の老朽化対策など、大都市特有の膨大な行政需要を抱えている。また、世界情勢や円安に伴う長引く物価高騰の影響は財政面において大きな影響を与えており、財政需要がさらに増大する中で、その先行きは依然として不透明な状況である。地方自治体が責任を持って充実した住民サービスを提供していくためには、これら膨大な需要に見合う安定的・自主的な財源の確保が不可欠であり、地方財源の不足や地域間の税収等の格差については、限られた地方税財源の中で配分調整するのではなく、国の責任において必要な財源を保障することにより、根本的な解決を図るべきである。
 よって、以下の事項について要望する。

  1. 1 地域間の税収格差の是正は、法人住民税の一部国税化という地方間の税源偏在の是正という措置ではなく、国の責任において、自ら行うこと。
  2. 2 令和8年度与党税制改正大綱にて示された特別区の土地に係る固定資産税の見直しの方針について、「受益と負担」の原則を堅持し、税収の偏在を理由とした見直しは行わないこと。
  3. 3 地方消費税の清算基準については、「税収を最終消費地に帰属させる」という制度本来の趣旨に沿った適正な基準を用いること。
  4. 4 不合理な税制改正や税源偏在是正措置による特別区の税源損失に対し、需要に見合う財源が確保できるよう、恒久的な財政補填措置を講じること。

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2 ふるさと納税制度の抜本的見直しに関する要望

提出先:総務大臣
財務大臣

 ふるさと納税は、地域の活性化や被災自治体の復興支援に寄与する一方で、都市部を中心に大幅な税収減に直面している自治体も少なくない。特別区も例外ではなく、住民税の減収額は年々拡大しており、令和7年度においては、特別区全体で1,000億円を超え、東京都全体では2,000億円を超える規模に達するなど、都民の生活や行政サービスに直接的な影響を及ぼす深刻な課題となっているとともに、自治体間での過度な返礼品競争やポータルサイトへの多額の手数料流出を招き、寄附金の約半分が実質的に行政サービスへ充てられておらず、「ふるさとを応援する」という本来の趣旨から大きく逸脱している。
 また、特別区のような地方交付税の不交付団体には、ふるさと納税による減収額に対する国からの補填措置(75%補填)が適用されず、交付団体との間の制度の不公平性が放置されたままとなっている。さらに、ふるさと納税によるワンストップ特例制度により、本来国税である所得税から控除されるべき額が住民税から控除される仕組みとなっており、それも自治体の税収減を一層拡大させる要因となっている。
 特別区の財政運営も長引く物価高騰の影響を大きく受けており、次々に改築時期を迎える公共施設やインフラの老朽化対策・更新費の増大、首都直下地震など激甚化する自然災害への対策、超高齢社会への対応など、大都市特有の山積する課題に対応するための財源確保が急務となっている。
 自治体が責任を持って持続可能な行政サービスを提供していくためには、これら膨大な需要に見合う安定的・自主的な税収が不可欠である。
 よって、以下の事項について要望する。

  1. 1 ふるさと納税制度について、返礼品競争を抑制する厳格な基準を策定するなど、制度本来の趣旨に沿った見直しを早急に行うこと。また、現制度による減収が直撃している特別区(地方交付税不交付団体)に対し、減収分を実質的に補填する新たな財政支援策を導入すること。
  2. 2 ワンストップ特例制度について、本来国税で処理されるべき控除が地方税に影響を及ぼしている現状を踏まえ、制度の見直しを行うこと。
  3. 3 高額所得に対して設定された住民税の特例控除額の上限を引き下げること。
  4. 4 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)は、さらなる拡充や適用期限の延長を行うことなく、期限の到来をもって廃止すること。また、廃止までの間、地方交付税不交付団体も活用可能とする仕組みを検討すること。

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3 国民健康保険制度の持続可能性確保に向けた財政支援制度への転換に関する要望

提出先:厚生労働大臣

 国民健康保険制度は、被保険者の高齢化や低所得者層の増加に加え、被用者保険の適用拡大に伴う被保険者数の減少など、制度の根幹を揺るがす深刻な構造的課題に直面している。重ねて医療費の増加により保険料が上昇し、被保険者の負担は毎年増すばかりである。また他の公的医療保険との格差が広がり続けることは、被保険者の不安を募らせ、保険制度の基盤そのものを揺るがしかねず、現行制度の枠組みは今や限界を迎えている。
 特に特別区においては、低所得者割合や単身世帯比率が極めて高く、構造的に保険料収入が伸びにくい都市部特有の課題を抱えている。このため、医療費支出との乖離を埋めるべく、各区が多額の一般会計繰入れによって財政を支える構造が常態化している。本来、防災対策、教育、子育て支援、あるいはまちづくりといった、住民の安全・安心に直結する施策に充てられるべき貴重な一般財源が、国保財政の構造的な赤字補填に費やされている現状は、住民全体の公平性の観点からももはや看過できない。これは自治体の努力不足に起因するものではなく、現行制度の設計が都市構造の実態に即していないことによる構造的な課題に他ならない。
 国においては、国民健康保険が真に持続可能で安心できる制度として機能するよう、単なる対症療法的な補助金の積み増しにとどまらない、抜本的な制度改革を断行すべきである。
 よって、以下の事項について要望する。

  1. 1 財政支援の仕組みを、単なる一律の補助金ではなく、年齢構成、所得水準、医療需要といった自治体ごとの客観的な構造指標に連動した「自動調整型」の国費配分制度へと再設計すること。これにより、特別区特有の構造的赤字を是正し、一般会計からの繰入れ依存を段階的に解消すること。
  2. 2 国民健康保険と被用者保険の保険料負担が公平となる保険制度とすること。
  3. 3 若者と高齢者など世代間の負担を平準化する保険料とすること。

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4 システム標準化に係るデジタル基盤改革支援補助金の制度見直しを求める要望

提出先:総務大臣
デジタル大臣

 令和3年9月1日に地方公共団体情報システムの標準化に関する法律が施行され、住民の利便性の向上、地方公共団体の行財政運営の効率化等の観点から、全ての自治体において標準化の対象となる20事務について、国が定める標準化基準に適合した標準準拠システムの導入が義務化され、令和7年度末までに移行を完了することが当初原則とされた。これを受けて各自治体は、ガバメントクラウドを使った標準準拠システムを利用できるよう移行を進めており、国は移行に要する経費をデジタル基盤改革支援基金に計上することで、自治体の人口規模等に応じて上限額があるものの10分の10を補助することとしている。
 しかしながら、全国の自治体が一斉に移行作業を行う必要があることに起因するシステムベンダーのリソース不足が顕著となっている他、外資系企業以外のガバメントクラウドを利用する選択肢がない状況であることからシステム運用経費が当初の額から大幅に増える見込みとなった。 国は、システム運用経費の増加分について地方交付税措置を講じる方針を示しているが、特別区は地方交付税の不交付団体であるため、下記の事項について要望する。

  1. 1 地方交付税不交付団体に対して移行前のシステム運用経費を上回る分について、国庫補助による財政措置を講じること。
  2. 2 外資系企業のガバメントクラウドを利用することで生じる為替レート変動等による利用料増額分について、国庫補助による財政措置を講じること。
  3. 3 標準準拠システムの本番稼働後に開発及び実装した機能についてはデジタル基盤改革支援補助金の対象外となっているが、自治体の責任によらない理由で本番稼働後に開発及び実装した機能については補助の対象とすること。

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5 航空機の安全確保を求める要望

提出先:国土交通大臣

 令和2年3月29日より新飛行経路が運用開始され、騒音等による区民の生活環境への影響が、より広範に及ぶことが懸念されていた。
 こうした中、令和6年1月2日に東京国際空港(羽田空港)において航空機衝突事故が発生し、同年12月には運輸安全委員会より経過報告がなされ、引き続き原因究明が行われているところである。
 本件は航空の安全確保に対する信頼を揺るがしかねない重大な事故であったことから、同様事案の再発防止の徹底、地域住民および空港利用者の不安払しょくを図るため、以下の事項について要望する。

  1. 1 空港交通業務の安全にかかる手順について点検を行い、原因究明に努めること。
  2. 2 羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会の中間取りまとめにおいて示された対策の実施を徹底すること。
  3. 3 運輸安全委員会の調査結果に従い改善を講じ、航空機火災等を始めとする航空安全対策の取組みをより一層強化すること。
  4. 4 関係自治体および地域住民に対し、丁寧な情報提供を実施すること。

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6 巨大災害発生に対する対応体制整備を求める要望

提出先:総務大臣
内閣府特命担当大臣
(防災)

 近年、我が国では地震・台風・豪雨など自然災害が頻発しており、国民の生命・生活・経済活動に甚大な被害をもたらしている。特に、今後発生が懸念される東海南海トラフ地震や首都直下地震、さらには富士山噴火等の巨大災害は、我が国全体に極めて深刻な影響を及ぼすことが想定されている。
 このような状況を踏まえ、政府は「防災庁」の設置を決定し、災害に強い国づくりを目指して体制整備を進めているが、実際の災害対応においては、地方自治体・地域住民・民間団体・ボランティア組織などとの連携強化が不可欠である。
 よって、政府におかれては、国民の命と暮らしを守るために、災害に強い国づくりの実現に向けて、次の事項について速やかに対応されるよう強く要望する。

  1. 1 東海南海トラフ地震や首都直下地震等の発生に備え、発災時における国の支援体制を一層強化し、被災地への人員・物資・情報支援が円滑かつ迅速に行われる仕組みを確立すること。
  2. 2 各地方自治体と連携し、災害時の情報共有体制、避難計画、医療・福祉・インフラ維持などの分野での協働体制を平時から確実に整備・確認すること。
  3. 3 新設される防災庁においては、中央政府と地方自治体、各種支援団体との緊密な連携を図り、災害対応の一元化・迅速化を実現するための機能を強化すること。
  4. 4 国の防災施策や制度変更については、地方自治体に対して十分な説明責任を果たし、人的・財政的支援を適切に講じること。

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7 鉄道の連続立体交差事業の一層の推進を求める要望

提出先:国土交通大臣

 特別区内においては、まだ数多くの踏切が存在し、事故の危険性や交通渋滞の発生によって道路交通円滑化の大きな妨げとなっている。また、鉄道により分断された地域では、経済活動や日常生活への影響など、深刻な課題を長年抱え、一体的なまちづくりが進まない状況にもなっている。
 こうした状況を改善する最も効果的な事業が、鉄道の連続立体交差事業である。区施行事業として、連続立体交差事業を進めている地域においても、完了まで莫大な事業費と長い期間を要することやノウハウの不足などの課題を抱えており、事業推進は容易でない状況である。
 また、連続立体交差事業においては、安定的な財源措置の確保が不可欠である。
 これらの趣旨を踏まえ、下記の事項について要望する。

  1. 1 区施行での事業に対し、地域の実情に応じた財政的支援を拡充すること。
  2. 2 事業の安定的な推進に向け、年度毎に必要な予算を確保すること。

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8 事前復興まちづくり計画の策定支援を求める要望

提出先:国土交通大臣
復興大臣

 我が国では、首都直下地震、南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震等の大規模地震や、それに伴う津波被害のほか、近年、激甚化・頻発化する豪雨災害等の大規模災害への備えが、ますます重要になってきている。
 大規模な災害が発生すると、市街地をはじめインフラが壊滅的な被害を受け、被災自治体は速やかに復興まちづくり事業に取り組むことになる。特に、市街地等の基盤整備は、産業や住宅、教育等の分野の基盤として、他分野の事業に先立って実施する必要があり、早期の復興まちづくり計画の策定や着実な事業の実施が求められる。
 また、大規模な災害が発生した際には、大規模災害からの復興に関する法律に基づき、国は特別の必要があるときは復興の基本方針を定めるとともに、都道府県においても復興方針を定めることができ、市区町村も復興計画を策定することができる。そのため、国土交通省では地方公共団体の復興まちづくりの目標や手順等の指針となる事前復興まちづくり計画検討のためのガイドラインを策定している。
 しかしながら、地方自治体の事前復興まちづくり計画の取組状況は、復興の体制や手順の検討にとどまっているのが現状である。被災後に迅速な復興まちづくりを行うには、平時から災害時を想定し、復興体制や手順の検討、土地・建物の利用状況等の整理、復興まちづくりの目標の検討などを行う復興の事前準備に取り組むことが重要である。
 よって、防災・安全交付金の拡充や地方自治体に対する技術的助言の強化など、事前復興まちづくり計画の策定に向けた更なる支援の強化を求める。

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9 下水道事業等における地方公共団体への国の積極的な支援を求める要望

提出先:財務大臣
国土交通大臣

 令和7年1月、埼玉県八潮市で発生した下水道管の破損が原因とされる大規模な道路陥没事故により、一名の方がお亡くなりになり、地域や周辺自治体の約120万人の生活に甚大な影響を及ぼした。下水道は、1990年代に建設されたものが多く、耐用年数から推察するとその多くが更新時期を迎えている状況である。
 また、地方公共団体の下水道事業においては、使用料収入の減少や職員数の減少による管理・運営状況の悪化に対し、広域化やDXをはじめとする効果的・効率的な取組が求められている。
 一方で政府は、地方公共団体に対して官民連携により下水道の維持管理・更新を行うよう促しているが、思うように進んでいないのが現状である。上下水道をはじめとした公共インフラの整備は、住民の生命と財産に大きな影響を及ぼすため、国や地方公共団体の責任によって安全に管理する必要がある。
 よって、以下の事項について要望する。

  1. 1 地方公共団体の下水道事業に対して、相談窓口の開設や専門家派遣等の伴走型の支援体制を整えること。
  2. 2 上下水道をはじめとする公共インフラの適切な維持管理・更新のために、地方公共団体に対して積極的な財政支援を行うこと。
  3. 3 地方公共団体において技術者不足が問題となっているため、技術者不足の解消のための財政支援を行うこと。

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10 民間病院の経営環境の改善と地域医療体制の維持に関する要望

提出先:厚生労働大臣

 近年、全国の多くの民間病院は、診療報酬の抑制的改定に加え、物価や光熱費の高騰、人件費の上昇、さらには医療従事者不足などの複合的な要因により、極めて厳しい経営環境に置かれている。特に中小規模の民間病院では赤字経営が常態化し、事業継続そのものが大きな課題となっている。
 民間病院は、地域医療の最前線を担い、救急医療や在宅医療の後方支援、感染症対応など、地域住民の生命と健康を守る公共的役割を果たしてきた。ひとたび経営破綻や診療縮小が生じれば、地域住民の医療アクセスに直結する重大な問題となり、地域医療体制の維持にも深刻な影響を及ぼすことが懸念される。
 また、民間病院の多くでは建物の老朽化も進行している。耐震性の課題や施設設備の老朽化により、安全で快適な医療環境の維持が困難となっており、修繕や建替えには多額の費用を要するため、病院経営をさらに圧迫する要因となっている。こうした状況は地域医療の継続性にも影響を与えかねず、長期的視点に立った対応が求められている。
 さらに、地域医療を支える重要な機能である救急医療については、特に高度医療や救急医療を担う病院ほど経営的負担が大きいとの指摘もあり、救急医療体制の維持・確保のための支援が不可欠となっている。
 よって、地域医療を支える民間病院の経営基盤の安定と救急医療体制の維持を図るため、関係機関において下記の事項について取り組むよう強く要望する。

  1. 1 民間病院の経営状況について、実態を的確に把握するとともに、地域医療体制の維持に向けた必要な支援策を検討すること。
  2. 2 民間病院の建物の老朽化の実態について、長期的視点を踏まえた調査・把握を行い、施設整備や更新に関する支援のあり方を検討すること。
  3. 3 地域の救急医療体制を安定的に維持するため、民間病院の救急患者受け入れ状況を把握するとともに、救急医療を担う医療機関に対する財政的支援制度の充実を図ること。

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