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要望活動・決議

生活保護制度の改善に向けた要望(平成22年5月10日)

平成22年5月10日

内閣総理大臣 鳩山 由紀夫 様
厚生労働大臣 長妻 昭 様
財務大臣 菅 直人 様
特別区議会議長会
会長 本橋 正寿

生活保護制度の改善に向けた要望

 長引く不況に伴い、雇用情勢の好転が見込めないまま、本来、雇用保険など雇用対策の中で解決すべき失業者対策が、緊急的にではあるにせよ生活保護制度を利用するようになったために、全国的にも生活保護件数は著しい増加を見せております。
 特に東京の場合は、地方から上京してくる失業者に対し、ホームレスも含めて、生活保護を適用しており、急速な財政負担増大とケースワーカーの人員不足を招いております。
 加えて、東京都は地方交付税交付金の不交付団体であり、生活保護に係る人件費などの負担は、各区の財政に大きな影響を及ぼしております。さらに総務省による公務員の総定数抑制の中に、これら福祉事務所の職員も含まれているため、思うように増員できない事態となっております。このため、ケースワーカーは、就業支援などきめ細かく、早期に生活保護を脱却するように指導することが、大変難しくなってきております。
 こうした状況が続けば、受給の長期化を招き、就業意欲を失い、結局は本人のためにならないのみならず、貧困の固定化や子どもの世代への継承を招く恐れがあります。
 生活保護制度の抜本的改革については、すでに、全国知事会や全国市長会など、多くの提案、提言が行われておりますが、残念ながら未だ具体的成果には結びついていないところです。
 私ども特別区議会議長会は、最近の生活保護の急増に際し、改めて下記のとおり早急に対応されることを要望いたします。

  1. 生活保護は憲法25条に基づき国の責任において実施すべき事業であり、生活保護に係る事業経費は全額国の負担とすること。
  2. 自治体が支出する生活保護事務に係る人件費についても、すべて国が負担すること。
  3. 平成17年11月4日付の地方六団体の声明、及び平成19年3月23日付の全国知事会の提言に基づく生活保護制度改革を早急に実施すること。

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(参考)

生活保護等の地方への負担転嫁に反対する声明

(協議会設置の前提)
 生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会は、「国庫負担率の引き下げを前提としたものではなく、生活保護制度や児童扶養手当制度の在り方について幅広く議論を行う」ことを前提としていたことから、今回の地方の負担増加を前提とした見直し案の提出は、信義に反する。

(共同作業の結果)
 生活保護費については、国と地方の関係者協議会における共同作業の科学的分析により、保護率の上昇や地域間較差は地方の実施体制の問題ではなく、失業率、高齢化、離婚率等の経済・社会的要因が極めて大きな影響を及ぼしていることが解明された。すなわち、これまで厚生労働省などが求めていた地方負担率の引上げでは、生活保護費の削減にはつながらないことも明確となった。

(厚生労働省の見直し案について)
 本日、厚生労働省が、唐突に生活保護等の見直し案を提案してきたことは、こうした協議会における真摯な協議の経過をも無視するものである。
 見直し案は、生活保護制度が憲怯の保障する健康で文化的な生活を保障するものであるにもかかわらず、国の負担を引き下げるため、無理矢理、扶助ごとに分断し、基準設定権限や国庫負担等を単に変更しようとするものである。このような考え方は、本来、総体であるべき人間の暮らしや営みを無視するもので、論外である。
 さらに、生活保護制度においては、国民の最低限度の生活を保障される機会や生活水準の内容が公平・平等でなければならず、地域或いは個人によって実質的な差が生じることがあってはならない。このため、生活扶助、住宅扶助等の生活保護基準は、本来国がその責任において客観的なデータを基に、地域事情を的確に反映させつつ、全国的整合性をもって定められるべきものである。
 厚生労働省は、社会保障審議会において、生活扶助基準等の見直しを求められているにもかかわらず、真剣に取り組むことなく、各扶助基準の設定を地方の裁量として押し付けようとしているが、これは国の責任放棄である。保護基準の設定権限を移譲しても、地方の裁量は拡大しないし、単なる地方への負担転嫁に過ぎないものであり、厚生労働省の生活保護等見直し案は、到底受け入れることができない。
 我々地方自治体は、国民の健康や福祉の増進のため、懸命に努力を傾注しているところである。それにもかかわらず、今回のような見直し案が示されたこと自体、厚生労働行政に対する地方の信頼を根底から揺るがすものである。

(生活保護等の見直しについて)
 生活保護制度は、社会経済構造の変化に伴って、制度の基本に係る様々な課題があるが、その対応のための方策については、我々も協議会において別途「生活保護制度等の基本と検討すべき課題」を提言したところであり、その検討は今後も進められなければならない。また、厚生労働省は、地方の意見に真摯に耳を傾けながら、我が国の社会保障制度全体の在り方を踏まえて、専門的な検討を進めることが必要であり、我々もその解決に向けて協力していく考えである。

 平成17年11月4日

地方六団体  
全国知事会会長
全国都道府県議会議長会会長
全国市長会会長
全国市議会議長会会長
全国町村会会長
全国町村議会議長会会長
麻生 渡
島田 明
山出 保
国松 誠
山本 文男
川股 博

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(参考)

生活保護制度の見直しに関する提言

 生活保護制度は、昭和25年の法律制定以来一度も抜本的な見直しがなされぬまま現在に至っており、その制度疲労は限界に達していると言っても過言ではない。社会経済環境の変化に対応した生活保護制度の抜本的な見直しは、もはや待ったなしの状況である。
 生活保護制度については、一昨年、国と地方の間で関係者協議会を設け、そのあり方について、保護率の上昇要因分析を始めさまざまな角度から議論を行っていたところである。その中で地方側は8項目の改革の方策を提言したにもかかわらず、国は何ら本質的な議論に入ろうとせず、一方的に協議会を打ち切ってしまったことは周知のとおりである。
 こうした状況を受け、全国知事会・全国市長会は、「新たなセーフティネット検討会」を設置し、前述の提言を踏まえ、生活保護制度の抜本的な見直しを含む具体的方策について検討を進めてきたところである。一方、国においては「骨太の方針2006」において生活保護制度の抜本的改革の必要性に言及し、改革に向けた検討に着手している。こうした中、昨年9月には全国知事会、全国市長会の代表と厚生労働大臣との間で生活保護制度見直しに関して協議をしていく旨の合意がなされたところである。
 我々は8項目に対する国の対応状況や「新たなセーフティネット検討会」の報告を踏まえつつ、今後の国との生活保護制度に関する協議に資するため、以下のとおり提言を取りまとめた。国はこうした地方の意見を真摯に受け止め、速やかに制度の抜本的な見直しに取り組まれることを求めるものである。
 今後とも、セーフティネットの機能は国家責任により堅持されるべきものであり、その見直しにあたっては、全国同一制度として統一的に行うとともに、国庫負担率の引き下げを行わないことが前提であることはいうまでもない。

1 高齢者のための新たな生活保障の仕組みを創設すること

 現在、被保護世帯全体に占める高齢者世帯の割合は概ね5割を占めており、今後の高齢化の進展によってその増加が懸念される。また、一般的には高齢者は、体力等の衰えや雇用機会の減少などによって就労自立が難しくなると言える。しかしながら、現行の生活保護制度はライフステージを考慮したものとはなっていない。そこで、当面、現行の生活保護制度内で高齢者のみの世帯を分離し、健康で文化的な最低限度の生活を維持・継続するための金銭給付に特化する。なお、日常的な相談援助については、一般の高齢者施策で対応することとする。こうしたことにより、ケースワーカーをはじめ福祉事務所の執行体制の効率的な運用を図るべきである。
 また、将来的には、生活保護制度とは別の高齢者対象の生活保障制度の検討も行うべきである。

2 就労自立を促進するための体制強化とその実効性を担保するための有期保護制度を検討すること

 生活保護世帯の保護からの脱却を進めるためには、稼動世代の就労自立を強力に促進しなければならない。現行の施策においても生活保護世帯に対する就労支援は実施されているが、複合的な就労阻害要因を的確に解決する対策になっているとは言えない。そこで、ケースワーカー等のマンパワーを集中的に投入するとともに、生活保護実施機関だけではなく医療・社会福祉機関や労働機関、教育機関等が一体となって連携・協働し、就労の前提となる生活訓練やセラピーを始め、職業体験や職業訓練、更には就労幹旋など、複合的な就労阻害要因を取り除く体制を整備強化すべきである。
 また、こうした就労支援対策は、集中的、計画的に提供していくことでその効果を高めることができる。そのため、期間を限定して強力な就労支援を集中的に実施する仕組みを導入することを検討し、徹底して就労自立を促進すべきである。

3 ボーダーライン層に対する支援策を講じること

 非正規雇用者の増加など、被保護者との境界層、いわゆるボーダーライン層は着実に増加している。こうしたボーダーライン層は一度、生活保護を受給すると生活保護から脱却することが困難になる場合が多く、生活保護世帯に移行させないためにも積極的な対策を講じる必要がある。そこで、稼働世代に導入する集中的な就労自立のための支援策と同様の制度を導入することや、非正規労働者の待遇改善などに取り組むべきである。

 平成19年3月23日

全国知事会

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